高津ヤクルト優勝 サヨナラで決めた!29年ぶり連覇「選手たちに大きな拍手を」

 「ヤクルト1-0DeNA」(25日、神宮球場)

 優勝マジックを「2」としていたヤクルトがサヨナラ勝ちを飾り、1992、93年以来、29年ぶりのリーグ連覇を決めた。コロナ禍に襲われながらも、チームを頂点に導いた高津臣吾監督(53)は就任3年目で2度目の優勝。チームは10月12日から始まるCSファイナルステージを勝ち抜き、同22日からの日本シリーズで、球団史上初となる2年連続日本一を目指す。

 抑えきれなかった熱い思いが、静かに瞳からこぼれ落ちる。高津監督が最後までナインを信じた答えが、そこにはあった。順風満帆ではなかった一年。「皆さんもスワローズの一員。優勝の立役者の一人です」。神宮の空へ。7度、宙に舞う。ファンと共に戦った、29年ぶりの連覇だ。

 7月9日。大きな試練が立ちはだかった。連覇へと快走する中で受けた逆風。高津監督や主将・山田を含めた14人の新型コロナ陽性判定を受けた。さらに翌10日にはリードオフマン・塩見、正捕手・中村も離脱。3日間で27人の感染者を出す非常事態となった。

 自宅隔離となった期間、毎日映像を確認しながら行ったという野球の勉強。20日に復帰し、迎えた8月11日。チーム全体がコロナの〝後遺症〟を抱え、なかなか状態が上がらない中での6連敗。連日、指揮官も「我慢」と自らに言い聞かせるように、言葉を紡いでいた。ナイン全員が理解していた踏ん張りどころ。青木が音頭を取ると、選手ミーティングでは声を出し合った。

 明かされた思い、あふれる感情。青木が「曇りの上は、いつも晴れだ」と声を上げれば、目を真っ赤にした山田が、飾らない言葉で頭を下げた。「みんなできることをやって、一生懸命やっている。今キャプテンとして本当に情けなくて、申し訳ない気持ち。苦しくて、俺が引っ張っていかないといけないんだけど、みんな力を貸してほしい」。全員で向かう連覇だ。目指すゴールを改めて共有し、また一致団結した。

 選手で見た景色を今は指揮官として見つめる。2年連続で立ったセ界の頂点。昨季、20年ぶりの日本一を達成し、全てが終わると、高津監督は恩師・野村監督のお墓を訪れた。そっと手を合わせ、この日もまた空に問いかける。「今年も元気に頑張りました。勝ちました」-。

 追う難しさを知り、追われる難しさも知った2年間。打順を模索し、苦しい時期は打開策を探った。中村、サンタナ、奥川…。開幕直後にケガ人が続出する事態には「抑える方法があったんじゃないか、起用法で無理させたんじゃないか」と反省した。指揮官にとって最優先だったナインたち。〝家族〟でつかみ取った連覇に、自然と思いはあふれた。

 「これだけ長い歴史があって、チームもたくさんある。年代は違いますけど、同じユニホームを着るって、大きな偶然や縁。一緒にプレーできることに感謝しています」

 開幕前に言い切った言葉に、嘘はない。「僕はそんなにいい監督ではない。でも君たちを誇りに思う。君らはできる男です」。幼き日に少年野球に憧れ、歩み始めた野球道。広島で生まれ育ち、カープに憧れた。高校、大学では一度もエースになれなかった。だが今、ユニホームを着てグラウンドに立つ。幸せな野球人生だ。

 ありがとう、よく頑張った。誇らしい選手たちへ。「優勝することは難しい、連覇することはもっと難しい。それをやってのけた選手たちに、大きな拍手を送ってやってください」。絆と信頼が紡ぐ物語。まだ、続きがある。

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