ヤクルト・石川 同級生・能見の言葉「1年でも長く」胸に200勝目指す【独占手記】

 「ヤクルト1-0DeNA」(25日、神宮球場)

 球団29年ぶりのリーグ連覇。歓喜の輪の中で無邪気にはしゃぐチーム最年長がいた。プロ21年目のヤクルト・石川雅規投手(42)がデイリースポーツに独占手記を寄せた。マウンドに上がる活力となった愛息とライバルの存在など、胸の内を存分に語った。

  ◇  ◇

 ヤクルトはずっと弱いと言われてきました。特に投手陣は、と。僕はずっとそういう時代に投げてきました。それが悔しかった。でもやっぱり、プロは勝たないとダメですよね。ついに連覇か…。今は最高の気持ちです。

 いつも見ている球場が、まるで別の球場でした。面白かったね。スタンドから初めて見る神宮、そこから見えた景色が刺激になりました。長男・大耀(だいや)が高校生活最後の夏で完封勝利。いつも僕がいる場所に、息子が立っている。それだけでうれしくて、楽しくて。

 頑張っているのは、分かっていますから。登板が決まって伝えたのは「やったじゃん。エンジョイ、エンジョイ。楽しんでこいよ」と。ただ、それだけです。僕にとっても改めて野球っていいな、楽しいなって思い出した時間になりました。

 体が小さくて、練習についていくのも必死だった高校時代。どうやって今日一日を頑張ろうかって、それだけを考える日々でした。でもそれは野球が好きだから、だからできたことなんですよね。

 息子が中学2年の頃だったかな。大耀が野球を嫌いになりそうな時期があった。その時に、一度だけ野球を辞めてしまったんです。続ける、辞めるは本人次第。僕からは何も言わないと決めていたんだけど、そういうこともあったからかな。今年の春、背番号「19」をもらってきた時はすごくうれしかったね。奥さんもユニホームにつけるのが、なんだかうれしそうでね。

 今年で42歳。あっという間の21年間だけど、息子のおかげで改めて思い出せた気がします。みんなで1点を取って、1点を必死に守る。野球が好きで、相手に勝ちたいっていう純粋な気持ちをね。

 ここ数年、マウンドに上がる度に、これが最後かもしれないと思うんです。ケガもある、勝てなくなったら終わりだと、僕自身が分かっているので。だからこそ1試合でも、1球でも長く、マウンドに立っている姿を、妻と息子2人に見せたいという気持ちが強いですね。

 そんな中、15日に同級生の能見が引退。メールをもらって、すぐに電話をかけたけど、最初は言葉も出なくて…。昨日、能見が勝ったから、俺も今日頑張ろうとか。負けたくない特別な存在でした。若かった時は不思議と覚えている会話はない。厳しい勝負の世界ですから。でも、ようやく言えたんです。

 「飯行こうな」-。

 能見から伝えられた言葉が、また一つ力になる。「1年でも長く、200勝を目指して頑張ってくれ」。同じ時代に野球を始めた何十万人の同級生がいる。そして、来年からプロの世界では一人になる。目指す200勝へ。結果たどりつけなかったとしても、仲間の思いを背負って、思いを力に変えて、マウンドに向かい続けます。(ヤクルトスワローズ投手)

 ◆石川 雅規(いしかわ・まさのり)1980年1月22日生まれ、42歳。秋田県出身。167センチ、73キロ。左投げ左打ち。投手。秋田商から青学大を経て、2001年度ドラフト自由枠でヤクルト入団。プロ1年目の02年4月4日・広島戦(神宮)で初登板初先発初勝利。最優秀防御率・ゴールデングラブ賞(いずれも08年)新人王(02年)。00年シドニー五輪日本代表。

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