智弁和歌山・中西聖輝 最後の夏に気付いた“チームのため”の投球

 「全国高校野球選手権・決勝、智弁和歌山9-2智弁学園」(29日、甲子園球場)

 栄光まであと1球-。智弁和歌山の中西聖輝投手(3年)は最後の打者を空振り三振に斬ると、思わず拳をグッと握った。「ガッツポーズが出てしまいました」。迎えたフィナーレ。「礼に始まり礼に終わる」のチームのモットーを体現し、マウンドに歓喜の輪を作ることなく静かに整列した。

 「何を自分のために野球をやっとるんだ!」。九回2死から2失点を喫して降板した初戦の高松商戦後、中谷監督に怒鳴られた。自らの欲に負け、直球勝負にこだわった末のふがいない投球。「自分のためじゃなくチームのために投げないと」。最後の夏に大切なことを学んだ。

 雪辱のマウンドとなった準決勝・近江戦では見違えた。10奪三振で1失点完投。「感情のコントロールができるようになった」と要所で変化球を投じる“チームのため”の投球で勝利に貢献。「最後の最後に立派なエースになった」と監督にもようやく認められた。

 この日は2点リードの四回無死一、二塁から登板。「任せとけ」と先発・伊藤に声をかけると、2者連続三振でチームを救った。「自分の結果よりもどれだけ貢献できたかです」。仲間のために腕を振り、栄光の瞬間をマウンドで迎えた。

 「この経験を必ず次に生かしたい」。進路についてはプロ入りを目指すことを表明。甲子園V投手の誇りを胸に、夢をつかむ。

◆中西 聖輝(なかにし・まさき)2003年12月18日生まれ。17歳。奈良県出身。182センチ、91キロ。右投げ右打ち。投手。小1から「KGヒーローズ」で野球を始め、光陽中時代は橿原磯城シニアでプレー。智弁和歌山では1年春からベンチ入りし、2年秋からエース。最速147キロ。球種はスライダー、カーブ、チェンジアップ。

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