天龍、引退試合でオカダに壮絶完敗

 「プロレス・天龍源一郎引退興行」(15日、両国国技館) 

 “ミスタープロレス”天龍源一郎(65)が新日本のIWGPヘビー級王者オカダ・カズチカ(28)と引退試合を行い、大相撲時代から通算52年間の格闘人生を終えた。超満員のファンの熱烈な声援を背に、現役トップのオカダ相手に奮闘したが、最後はレインメーカーで敗れた。敗戦を悔しがりながらも「腹いっぱいのプロレス人生でした」とやり切った笑みを浮かべた。今後は1週間の休養後、オファーのある芸能活動を再開する予定。

 生きざまを見せつけた玉砕だった。37歳下の現役王者に、ラストファイトの65歳が食らいついた。ダイビングエルボーなどを浴びても立ち上がった。たたき込んだ逆水平チョップは計18発、グーパンチも計15発。延髄斬り、投げ捨てパワーボム、53歳も繰り出したが、最後は強烈なドロップキックからの“宝刀”レインメーカーで大の字になった。健闘を称える拍手の中、起き上がった天龍は「イヤ~負けた~」と悔しがった。マイクもたたきつけたが、やり切った清々しさを漂わせた。

 大相撲時代に蔵前国技館を沸かせた天龍にとって、望み通りの両国での“革命終えん”だった。77年6月11日の日本デビュー戦(G馬場&天龍対Mミラノ&Mグランデ)で着用した青いガウンで入場し、久々の黒いショートタイツで初心に戻った。レインメーカーのダメージから回復後、目に映った国技館の天井は「一番最初に相撲を取って、土俵下にひっくり返されたときと似ていた」という。

 76年の転身後も力士出身の意地と誇りを忘れることはなかった。「今も相撲上がりが一番強いと思ってる」と口にする天龍は、試合前の四股30回を欠かさなかった。「周りの選手への威嚇。オレは本物の四股を踏めるんだぞっていうね」。なめられたくない一心で“ミスタープロレス”と呼ばれるまでになった。

 自他ともに認める39年間のレスラー生活での勲章は師匠の馬場さんとアントニオ猪木参院議員から日本人で唯一、フォール勝ちしたこと。今年の馬場さんの十七回忌大会は引退発表の9日前だったが、たっての希望で参戦して亡き師を弔った。この日の試合後の会見でも、ラストマッチを行えなかった馬場さんを思い浮かべ、「自分の足でみんなから拍手をもらって降りられただけでも幸せ」と口にした。

 病気が続いたまき代夫人を「今度は支える番」と決意した65歳は、2月の引退発表からのカウントダウンを全身全霊で突き進んだ。各地で行われた引退ロード全23試合を完走し「腹いっぱいのプロレス人生でした。これ以上、望むことは何もありません」と言い切った。太くて、長い格闘人生だった。

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