広島は２７日、パドレス傘下３Ａエルパソを自由契約となり、日本球界復帰を決めていた秋山翔吾外野手（３４）の獲得を発表した。３年総額４億円規模の契約と見込まれる。背番号は未定。近く正式契約を結び、今週中にも入団会見を行う予定だ。（金額は推定）

　交渉役を務めた鈴木球団本部長は、吉報に驚きを隠せなかったという。秋山から連絡を受けたのは、前日２６日のＤｅＮＡ戦後。横浜スタジアムから新横浜駅にタクシーで向かう車中だった。

　「カープにお世話になりますと。えっ！マジっ？と。（頭が）真っ白になってしまった。どういうふうに（タクシーを）降りて、どう（新幹線の）改札に入ったのか覚えていない。弁当も買い間違えたかなって（笑）」

　マツダスタジアムで取材対応した同部長は、興奮冷めやらないままに声をはずませた。

　古巣の西武、豊富な資金力を誇るソフトバンクと三つどもえとなった争奪戦を制した。秋山が日本球界復帰を決断すると、２１日に獲得を表明。２４日に都内でテーブルに着いた。

　「難しい交渉というか、そんなに交渉はしていない。野球の話と、いろんな環境の話と雑談と」

　その一方で同部長は「カープの大きな財産になる」と語りかけた。秋山が通算２０００安打へ強い思いを持っていることも話題にした。熱意を言葉に変えた２時間。秋山の思いとも一致し、鯉の恋が実った。

　「後ろに応援団はいっぱいいた。彼らが一生懸命動いてくれたと思う。うちの応援団は自主的に動くから」

　チームには西武時代に指導した河田ヘッドコーチや、侍ジャパンでチームメートだった同学年の会沢や１学年後輩の菊池涼らがいる。同部長は具体的な名前こそ明かさなかったが、彼らが秋山の心を動かした可能性をうかがわせた。

　条件面は３年総額４億円規模と見込まれる。背番号については「何個かの候補から選んでもらって」と話した。丸の巨人移籍後に空き番号になっている「９」や、レッズ時代につけていた「４」などが候補になりそうだ。入団会見は近日中に行われる予定で、チーム合流後の動きは本人の状態などを確認して決めていく。

　ＮＰＢ通算１４０５安打（日米通算１４７６安打）を誇るバットマンが赤いユニホームに袖を通し、新天地で躍動する。