黒田万全0封「もう1、2回いけた」
「オープン戦、広島1-0ソフトバンク」(22日、マツダ)
広島・黒田博樹投手(40)が、開幕前の最終登板を最高の結果で締めた。今年最長となる7回を投げ、6安打無失点。チームは3勝7敗2分けでオープン戦最下位となったが、3勝はいずれも黒田の登板試合だった。あらためて存在感の際立った92球。球団主催のオープン戦では史上最多となる3万1255人が詰め掛けた一戦で、シーズンへ弾みを付ける快投となった。
最後は信じたボールだった。七回1死満塁。黒田はこの日初めてピンチを迎えた。打席には松田。カウント1-1からの3球目、打者の手元を襲うツーシームで、三ゴロ併殺打に斬った。「狙い通りですね」。両手でグラブをパンッとたたき、本番同様の気迫で打者を圧倒した。
昨季の日本一チームを相手に、オープン戦3度目のマウンド。「試している時期ではない」と、全力投球で打者と対した。
初回、先頭・本多に中前打を浴びた。本多は続く中村晃の打席で二盗を試みたが、黒田の素早いクイックもあって、捕手の会沢が刺した。その後は中村晃を遊ゴロ、柳田をスプリットで空振り三振に仕留めた。
3万1255人が詰め掛けた一戦。旧広島市民球場の最終年となった09年3月22日の2万6083人を超え、球団主催のオープン戦では過去最多の観客動員となった。ファンの大声援を受けながら、二回以降も圧巻の投球。球種の全てが決め球で、アウト全21個中、15個がゴロ。3試合で52個中、31個がゴロアウトと、持ち味を存分に披露した。
全92球。オープン戦計208球を投げ、1イニング平均12球。110球前後で9回に達する計算になる。「もう1回、2回はいけた」と振り返ったように、完投を視野に入れた投球。「マウンドに上がったら勝たなければならない。どこまで体が続くか分からないから、いける時はいきたい」と、シーズン序盤からの全力投球を誓った。
3試合で17回1/3を2失点。防御率1・04と抜群の安定感が光る。迎えるは29日・ヤクルト戦。“開幕”まで残り1週間を切った。「ここまであっと言う間でした。長い、大変なシーズンに入る。気を引き締め直して開幕を迎えたい」。真っすぐ視線を向け、激動の1年へ思いをはせた。ついに始まる。日米19年目の闘いが幕を開ける。
