球児が欲した照英の足
【12月15日】
キッピースタジアムという兵庫県三田市の球場で初めて彼を見たとき、ビックリした。はやっ…。皆さんもキャンプでぜひ見てほしい。一度目にしたら忘れないくらい速いのだ。
関西独立リーグ兵庫の久保康友が堺戦に先発するというので三田へ向かった。今年5月のことだ。この試合、兵庫の1番センターで先発出場した背番号99をつけた選手がえげつなかった。
その男、山崎照英は初回に出塁すると、躊躇なく二盗に成功した。その後先制のホームを踏んで久保を援護したわけだけど、山崎はこの日3盗塁。スチールもさることながら目を奪われたのは、打ってから一塁までの到達速度である。確か三回だった。一塁への内野安打で出塁した彼の塁間タイムを計っていれば相当なものだったと思う。あの夜、当欄で44歳久保の快投を報じたけれど、22歳山崎の快足がその後タイガースの目に留まるとは…。
あれから7カ月。育成2位の韋駄天が金屏風の前でりりしい顔をする新入団会見を見させてもらった。
対戦したい投手を聞かれた彼は「石井大智投手」と答え、インタビュアーから「味方ですが…」とツッコまれたわけだけど、このアンサーに粋な反応を示したのがボスだからおもしろい。
「2月11日に山崎選手は大智と対戦してもらおう、と。楽しみだね」
新入団選手とのフォトセッションを終えた球児は別部屋に場所を移し、そう切り出した。囲み会見で山崎の熱望を「叶える」と約束したのだ。宜野座キャンプの紅白戦で「50試合連続無失点男」がマウンドに上がり、そこに育成ルーキーが挑む。さて、どんな結果になるのか。内野へゴロを転がせば、一塁ベース上でドラマが起こる。そんな魅力を目一杯見せてもらいたい。
せっかくだから球児に聞いてみた。
「山崎照英の足」をナマで見たことがある旨を伝え、とにかく速い選手。一芸に期待して獲ったのかな?と想像していたけれど、球児が期待する彼の未来図はどんなものか教えてほしい。
「自分が欲しかった選手ですから。足の速い選手を探してましたので…。これだけ、どの球団も外国人に頼り出している状況ですから。そういう意味で、今シーズン勝てたことも、かなりの確率でその走塁技術、チームプレーに携わる選手たちがウチは多いですから…。それがさらに必要だなと判断しましたので、探していました。スカウトの方から『一芸でこういう選手がいる』と。だから僕は、それが大学であろうが、独立リーグであろうが、何もしていない人であろうが、戦えるものは戦えるという判断ですから。その選手が石井大智と勝負したいと。この言葉ひとつで大きなチャンスを掴むわけですから。おもしろいもんですよね。期待してますよ」
こちらも期待してます。なぜって、久保康友にも取材済みだったので。
「足の速さ、走塁力は、絶対勝負できると思いますよ」
かつて「世界No.1クイック」の異名でならした右腕のお墨付きだ。球児のお眼鏡にかなう予感。=敬称略=
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