重圧が大きかった?

 【1月26日】

 なぜ無免許運転したのか?その動機を問われ、「プレッシャーがあった」と語った。昨年の東京都議選中などに7度無免許運転をしたとして、道交法違反の罪で在宅起訴されていた元都議である。

 「再選を目指す選挙が近づき、プレッシャーが相当大きかった。コロナ下で手伝いを集めるのが難しい中、街頭活動やポスターを貼る活動で運転しました」

 おとといの初公判で女性都議はそう語った。検察側は「極めて悪質で法令順守の意識が欠落している」として懲役10月を求刑したわけだけど、この報道を見るにつけ、う~ん…と考えさせられる。

 法令順守の意識?確かにそうなんだけど、あのような立場で…というか、大のオトナが〈平常な精神状態で〉やるこっちゃない。想像でしかないけれど、完全に自分を見失っていたとしか…。

 この都議を擁護するつもりは全くないことを前提に書く。

 誰しも、ときに自分を見失うことはある。彼女は政治家だからなおさらだけど、そんな危険信号が灯ったとき、「それは絶対ダメ」と、傍らで具申してくれる人、またはブレーンや側近、師匠的な存在はいなかったのかと思う。

 まったく次元の違うハナシになるが、スポーツ界もそうだ。

 結果を求められる。数万、それ以上の支援者が見ている。そんな重圧のもとに置かれれば、平常心でいることはときに困難になる。

 あれ?俺、おかしいかも。そんな「気づき」ができるかどうか。お前おかしいぞ。そう諭して気づかせてくれる人がいるかどうか。

 金本知憲政権時代、作戦兼バッテリーコーチだった矢野燿大は僕に「監督に対して、言いにくいことも言える存在でいれるようにせなあかんな」と語っていた。また金本も矢野にそれを求めていた。

 だからきっと、いまの矢野はヘッドコーチ井上一樹にその担い手を期待していると思う。

 監督に限らない。

 あれ?俺、おかしいかも。

 そんな気づきができる選手は見ていてよく分かるし、また、逆の選手もよく分かる。力が同じなら後者より前者が〈長生き〉する。

 ぶっちゃけ、過去に、後者を見ながら気の毒だなと感じたことはある。誰も本人に言ってあげないのか。または、言われても聞く耳をもてなくなってしまったのか。

 いつも優しくしてくれる人、心地良い言葉ばかり掛けてくれる人が、実の「味方」ではない。それに気づけるかどうか。

 ちいちゃいハナシでいえば、僕らの世界でもある。メディア側が自分をタレントと勘違いし、ナルシストと化す…他人事じゃない。戒めの意味もあるのだけど、僕は年に何度か、忌憚なく諭してくれる大先輩と会うようにしている。「あほちゃうか」とビンタしてくれそうな存在がいてくれるのは幸せなことだ。

 法令でなくとも、ある意識の欠落…「気づき」が遅れれば、政治の世界に限らず、致命的になる。自分で気づける者こそ一流に…。そんな気がしている。=敬称略=

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