米国野球殿堂ボンズ氏ら落選 明暗分けた問題公になった後の印象 MLB担当記者が解説
米国野球殿堂は25日(日本時間26日)、今年の殿堂入り選手を発表し、レッドソックスなどで通算541本塁打を記録したデービッド・オルティス氏(46)が資格1年目で選出された。資格最終10年目だった歴代最多762本塁打のバリー・ボンズ氏(57)、通算354勝のロジャー・クレメンス氏(59)らは現役時代の薬物使用疑惑が影響し、選出されなかった。
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近年の投票で議論の的となっている薬物問題。特に今年は03年に薬物検査で陽性を報じられたオルティス氏が選出され、数々の本塁打記録を樹立したボンズ氏、サイ・ヤング賞7回のクレメンス氏が落選したことで議論に拍車が掛かった。
そろって現役時代に薬物使用の疑惑があった3氏。明暗を分けたのは問題が公になった後の印象だ。
オルティス氏は薬物使用を一貫して否定し、その後は一度も陽性結果を報じられなかった。チームの主砲として04年以降、3度の世界一を成し遂げたこともプラスに作用したと考えていい。
一方、後者2人は薬物疑惑が前代未聞の刑事裁判にまで発展した。法廷での栄養補助食品会社やトレーナーらによる生々しい証言は大きな波紋を広げ、2人が偽証罪で起訴(のちに無罪)されたことは社会に衝撃を与えた。殿堂入りまで30票余り足りなかった両氏。現役引退から15年が過ぎても「限りなく黒に近いグレー」の印象を拭い去ることはできなかった。(デイリースポーツ・小林信行)