プレッシャーで遊ぶ

 【7月14日】

 阪神タイガースの前半戦を10文字以内で総括しなさい。そう言われれば、こう答えよう。

 い・ろ・い・ろ・あ・っ・た。

 直近のインパクトでいえば「矢野燿大の涙」だろうか。

 あの「男泣き」を見た感想は、人それぞれだろう。チーム内もそうだし、ファンの捉え方も様々だと思うけれど、くだらないのは、メディア等でそれに「○」「×」をつけたがる方々である。

 何度もここで書いているけれど僕の考えはひとつだけ。

 プロセスの良し悪しは、その途上で判断されるものではない。

 あの矢野の感涙があったから阪神は勝てた。日本一になれた。そうなれば称賛されるだろうし、負ければああだこうだ言われてしまう。そんなことをすべて承知して矢野は戦い、ときに激情も伴う。

 星野仙一だって岡田彰布だってそうだった。あの時代も虎将の言動に毒づく人たちがいたけれど、勝てば官軍。皆、お黙りになる。

 矢野には勝ってほしい。最後に笑ってほしい。そんな感情をもって前半戦のラストゲームを見た。

 今永昇太はいい野球選手だと思う。マウンドさばき、けん制球だけじゃない。打てば一塁へ全力で駆ける。次塁を狙う。抑えればダッシュでベンチへ帰る。やらされてる感はない。ただただ野球が好きなんだろうな。彼を見ていて感じる。もちろん阪神にもそう感じる選手はいる。そう思いながら、ふと、ある記事を思い出した。

 この日、僕の暮らす西宮市は廃品回収の指定日だった。古紙を整理すれば、先月読んだ日経新聞の五輪特集に再び目がいく。

 そのコメントに今の猛虎を重ねたくなるアスリートがいる。今大会から新種目となるサーフィンの日本代表・五十嵐カノアだ。

 「プレッシャーに負けるというより、プレッシャーを使って遊びたい」。彼は本番を間近に控え、そんな言葉を発したという。そして、「海の中にいるときは自由。携帯もないし、考えることはサーフィンしかない。サーフボードと海と友達だけ。本当にシンプルで気持ちいい」とも…。

 彼の名前「カノア」=Kanoaとはハワイ語で「自由」。波乗りジャパンの第一人者として重圧はあると思うけれど、その名のように「自由」を味方に、彼は見晴らしのいい表彰台を目指す。

 プレッシャーをつかって遊ぶ…プロ野球選手のコメントではなかなかお目にかかれないものだ。でも、それができればどうだろう。

 〈この競技の選手たちからどこか泰然自若なたたずまいを感じるのは、二度と同じ波が来ない自然相手の競技性ゆえだろう〉

 日経の記者はそう綴る。野球もそう。二度と同じ試合は来ない。 フィールドに入れば考えることは野球しかない。それを「自由」と捉えられれば…。これからひと月間のブレークをどう使うか。矢野にとって悩める時間になると思う。選手の技量が一気に上がることは考えにくい。となれば、気持ちの持ち様をシンプルに…。泰然自若でいけばいい。=敬称略=

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