満塁でかましたれ!

 【4月22日】

 3つのベースが埋まって佐藤輝明。ワクワクする局面が初回に訪れた。打ちゃ、がっちり主導権。打てなきゃ、流れが渡る。そんな初回2死満塁の好機で、怪物は高橋優貴の変化球を打ち上げた。

 カウント2-2から中飛。当然だけど、誰も佐藤輝に文句なんて言わない。メディアも叩かない。あの瞬間、「あ~」と天を仰いだファンだって、きっと顔はニヤけていたはずだ。

 テル!紙一重や!次、頼むで!

 ってなもんである。

 そんなこと書いている僕もそうつぶやいていた。

 そして迎えた三回の第2打席、佐藤輝は打った。6点を追う場面で、2人走者を置いて追撃のタイムリー。満塁逸機の後しっかり結果を出すあたり、さすがオトコである。

 今シーズン、矢野阪神で打の主役を担うのは誰か。候補者はたくさんいるけれど、毎年あいつが一番目立ったよな…という選手が必ずいるものだ。特に強かったシーズンは必ず。そして、その象徴が「満塁男」なんだと思う。

 例えば、前回優勝した05年でいえば、今岡誠(現ロッテヘッドコーチ)である。147打点を挙げた5番打者は、満塁で25打数15安打、4本塁打、49打点。打率はナント・600。あの年、岡田彰布から全試合4番を任された金本知憲は満塁で17打数9安打、2本塁打、27打点。打率・529を残したものの、その上をいった今岡はもはや「神」だった。

 03年Vの星野阪神で、金本が個人的に「打のMVP」に推していた矢野輝弘(当時)の満塁打率は・385。塁が全て埋まればかっ飛ばす恐怖の7番打者だった。

 ここまで書けば、85年のそれに触れなければ、オールドファンに怒られてしまう。

 R・バース=・500(10打数5安打、2本塁打、16打点)

 掛布雅之=・357(14打数5安打、14打点)

 岡田彰布=・500(14打数7安打、1本塁打、16打点)

 この3人が満塁でこれだけ打ちゃ、そりゃ相手はかなわん…。

 じゃ、21年は?

 大山悠輔は2打数1安打、2犠飛、4打点。梅野隆太郎は3打数2安打、4打点。チームとしての満塁成績は9打数3安打9打点で・333。佐藤輝はこの夜、自身3度目の満塁機を迎えたが、ドカンと一発とはならなかった。

 3連戦の3つ目は終わってみれば初回が全て…そう言う人もいるかもしれない。あれが阪神唯一の満塁機だったし、やはりあそこでかまして欲しかった…と書けば、おいおい、新人にどれだけ求めんの?とお叱りを受けそうだけど、佐藤をタダ者だと思っていないから、期待するのだ。

 さあ、DeNA戦で仕切り直そう。先発は3勝目を目指す藤浪晋太郎である。DeNA戦で晋太郎といえば…そう、投手として21世紀初の満塁弾を放った男。前回ヤクルト戦で決勝2ランの右腕に2戦連発の…こちらもタダ者じゃないから期待する。=敬称略=

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