阪神・嶌村球団本部長インタビュー「黄金期を少しでも長く続けるため、適切な補強でFAに頼らずできるかを今考えています」【第2回】

 阪神・嶌村聡球団本部長(58)がデイリースポーツの単独インタビューに応じ、黄金期に突入したチームに変化の重要性を訴えた。来季は球団史上初のリーグ連覇を目指すが、「優勝したからといってこのままでいくのではなく、26年仕様に」と強調。国内FA権を取得した近本光司外野手(31)の残留、ドラフト、外国人補強、野球振興まで、全3回で語り尽くす。【第2回】

 -今秋ドラフトでの野手狙いは再来年からのDH制導入も視野に。

 「DHがあるか、無いかという問題じゃなくて、今後のチーム編成を考えた時に、せんえつな表現にはなるけど、私たちが考えるにおいて許容できる選手がいたから。野手を指名したいから野手をいくんじゃなくて、われわれの確認で許容できる選手がいたからです。各球団、見立ては違うと思いますが、良しあしでなくて、それはいいんですよ」

 -パ・リーグもチームによってDHの使い方が違う。

 「そうそう、違いますね。昔、西武球団に森(友哉)君が入団された時に捕手の方はまだ1年目ということでも、1軍レベルの打撃能力を買われて1年目からDHで出場していた。そういった意味では選手の成長を促す、非常に良い制度ではある。このように打撃を生かすためにDHとか、外国人選手を置くとか。ちょっと小型の機動力のある選手を置くとか、打率低めでも長打力ある選手を置くとか。いろんなパターンを今後1年かけて計画していくのが必要かなと思います。ただ、その選手を何番に置いた時に、打線として機能するかどうかの問題も出てくる。監督と相談しながら27年のDH制に臨みたいと思います」

 -2年前と今年の優勝やドラフト結果も踏まえると、黄金期に入っている。

 「昔で言うと03年ぐらいから10年ぐらいまでの黄金期、あの時も強かった。でも、どんどん選手も年齢重ねきて、ちょっと成績が落ちてきたりする。チームとしてそこで適切な補強があるかないか。どうしても対症療法になるんですね。即効性のある選手、つまり、メジャー経験の日本人選手や外国人選手で中核を補う方針になりがちになります。それは間違いではないのだけど、勝負なので勝ちきれなかったら、どこかで抜本的にチーム構成を変化させる必要が生じる。そこで金本監督の時に抜本的に超変革という方針の元で、ドラフトで獲得した選手中心のチーム作りを」

 (続けて)

 「どうしても同じ選手で長くチーム構成をとれないので、黄金期、対症療法期、改革期というようにチームはサイクルしていくもの。金本監督の3年、矢野監督の4年は、改革期の始期から終期手前ぐらい。矢野監督時代の3、2、2、3位から岡田監督の手腕で開花しました。そして今年の順位っていうのは非常に大事で。ここで3位になるか4位になるか、2位のままか。見事に1位になったというところでは、まあ黄金期になっているのでしょうね(笑)。ファンの方やマスコミの方がどう思われるかが一番と思います。評価は他者評価が全てですから。この黄金期をどれだけ長くするか。絶対に同じ状態は続かないから」

 -黄金期の継続のためには。

 「今回の近本の残留、昨年の大山の残留、この5年間のFA選手の残留というのが生きてくる。生きてきた上でドラフトで適切な補強ができ、新入団の外国人選手も4名になりました。黄金期を少しでも長く続けるため、適切な補強でFAに頼らずできるかを今考えていますし、今年はできたんじゃないかな。ただドラフトの場合は運の要素が大きい。私は正当性のある編成をやることによって、運が向いてくると思うので。やっぱり計画性とか戦略性をもって編成をすることで、神様がこちらを向いてくれるものと考えてます(笑)」

 (続けて)

 「そら今回1位が外れたら危機感が出てくる。外国人に頼らざる得ないとかね。頼ってもいいのですけど。それは選択肢の一つとしてある。黄金期をできるだけ長く。できるだけ対症療法をやめて、もう一回作り直そうかっていう時期が来るかもしれない。絶対、人は年齢が上がっていくんで。同じ選手でずっと戦えない。それで、外国人も必要。でも中核としての外国人じゃなくて。中核の外国人もおったらいいんだけど、数年でどうしても(退団となる)。助っ人としては大事ですよ。外国人の力を借りながらね。でも外国人選手が中核にならないような編成を」

 -30代の選手が増えていくことも意識して。

 「野手って試合に出て成績を残して、7年目8年目、29、30、31の歳って一番脂が乗っていて野球を覚えてきて、ピッチャーとの対戦の中でもボールの待ち方とか打席での対応とか変化とか覚えてくる時期で。そういう意味では心配はしてないんですよ。今の選手よく練習するし、30代前半やったらまだ若いと思う。私が言いたいのは、その分というよりも、組織に変化を与えるところ。25年じゃないんだよ、25年と26年は別物だよ。それで新戦力補強をする。新外国人選手を獲得したり。コーチングスタッフも変える。同じ仕様でなくて、26年仕様に変化することが大事」

 -日本シリーズはどう見ていたか。

 「やっぱりソフトバンクさん強い。ウチがシーズンでやっているような戦い方で、逆に勝たれたなっていう。1点差で守り抜いてとか、特に3戦目なんてこっちにチャンスがかなりあった中で。3戦目がポイントやったと私は思っているんやけど。満を持して才木をここに持ってきたというところ。チャンスも結構多かった。いろいろあったけど、やっぱり守り抜いて。ずっと勝っているチームですから、そういう選手は野球をよく知ってて、野球の展開をよく知ってて。ベテランもいて、若手もいてっていうところで勝ち方を知っているというところで」

 -佐藤輝はホームランはどこでも出るみたいな話もしているが、選手自身も感じたところがあった。

 「まあ、敗退したチームがいうのもあれやけど、ポイントは3戦目やと思っているので。3戦目を取るか取らないかで大きな違いやった。ただ、それが向こうさんの強さなのですよ。シーズン中の戦い方を向こうにされた。まあそれはそれで次の目標ができたっていうところで。1年目の藤川監督にどこまで求めるねん、っていう話になる。そういう意味では僕は一つのステップアップになるかなと思っています。来季構想を監督はずっと考えてはるから。多分ハワイ旅行でも考えていたよ(笑)」

 -藤川監督はオフは冬眠みたいな発言もしていたが、そんなことは感じられない。

 「それは、今は、ご家族と一緒にシーズン中にできない時間を過ごされていますけど、一年中考えていますよ。監督ってそういう仕事、気が休まることは無いと思います。今からもう始まっている。僕ももう始まっている。ハワイ旅行から帰ってきた瞬間もう始まっているし。だから12月の末が一番うれしいのですよ。1月入ったらもうキャンプ前です。ほんと白黒つくのは、勝ち負けが出てくるのはつらい。2月のキャンプ前半が一番楽しい。さあ、始まるぞと。その準備を僕の中ではこのオフに非常にいい感じでできたから、26年に向かっていける」

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