高梨沙羅が感謝の涙「戻ってこさせてくれてありがとう」2大会ぶり個人メダルはならずも悪夢晴らした団体銅「自分1人ではあのジャンプをすることはできなかった」

 「ミラノ・コルティナ五輪・ノルディックスキー・ジャンプ女子個人ラージヒル・決勝」(15日、プレダッツォ・ジャンプ競技場)

 4大会連続出場の高梨沙羅(29)=クラレ=が、五輪初採用のラージヒルに挑んだが、16位に終わり、2大会ぶりとなる個人メダルはならなかった。今大会ノーマルヒルでは13位、混合団体ではスーツ規定違反に泣いた22年北京五輪の悔しさを晴らす銅メダルを獲得した。3種目すべてでしっかりとジャンプを飛び4度目の五輪を終えた。

 1回目は厳しい追い風条件の中で飛距離を伸ばせず、114メートルで17位と出遅れた。2回目は127メートルまで飛距離を伸ばした。飛び終えた後は歓声にほほ笑んで手を振った。

 ただその後は目を赤くし、涙を溜めて取材エリアへ。「北京が終わった時にこの舞台に戻ってこれるなんて想像できていなかった。本当に北京後も変わらず、ずっと一緒に練習してくれたチームの仲間だったり、ファンの方たちだったり、会場にお越しくださる方々のおかげで、心強くスタートすることができた。なんかこう自分の力以上のものがすごい乗っかっているような感じでした」と語り、涙の理由については「感謝の気持ちですかね。やっぱりこの舞台に立つにあたって、まずまた戻ってきていいのかっていうところもありました。戻ってきたら戻ってきたで変わらずに接してくれる仲間だったり、先輩たちがいたり、その中でまた集中してスキージャンプに向き合う事ができて、またここに戻ってこれた。成長した姿をみていただけるようなパフォーマンスができたかっていうとそうではないかもしれないですけど、すごく本当に感謝の気持ちでいっぱいで・・・。戻ってきてよかったなっていうか、戻ってこさせてくれてありがとうございます」と明かした。

 「混合団体の時も本当にチームに支えられて、自分1人ではあのジャンプをすることはできなかった。最後の最後まで寄り添ってくれたメンバーであったり、日本チームの皆さまであったり、支えてくれる、応援してくれる人たちのおかげで、自分の能力以上のものが出せた気がする。本当に自分1人で飛んでいるような感じがしなくて、そのおかげでやっと銅メダルを取ることができて、本当に自分だけのメダルではないので、みんなで取ったメダル、日本チームで取ったメダルだと思います」と改めて混合団体でのメダルを噛みしめた。その上で「だからこそ自分の今の能力のなさ、情けなさが。もっと強くなって力になれたら。まだまだ頑張り続けたい。自分のできる限りのことを尽くして、飛ぶことで誰かに何かを与えられる存在になれるように頑張っていきたいです」と今後を見据えた。

 10日の混合団体では日本の銅メダル獲得に貢献。スーツの規定違反で失格となった前回北京五輪では「今後の競技は考える必要がある」と進退にも言及するほど失意のどん底だったが、帰ってきた大舞台で雪辱を果たし「人生で取ったメダルで一番うれしい」と実感を込めた。喜びのあまり、10日の夜はメダルを首にかけたまま眠りについたという。それでも「もう気持ちは切り替え、メダルは大事に(しまった)」と語り、次の戦いに視線を向けていた。

 高梨にとって4大会連続となる夢舞台となったが、今大会から女子もラージヒルが初採用された。女子ジャンパーの第一人者は「女子もようやく(競技として)パフォーマンスを認められた証拠。(メダルに)挑戦するチャンスがもう1つ増える」と感慨を込めていた。

 通算63勝を誇るW杯で、直近2シーズンは表彰台から遠ざかっている。昨季から課題にしている着地のテレマークは、「取り組んできたトレーニングが、つながり始めた感覚はある」と手応えを感じている。1年前には「距離を飛ぶ競技だと思っていた。やっぱり飛んでなんぼだとも思っていたし、小さいころはテレマークの練習を全くやっていなかった。それが今の唯一の後悔」と話していたが、階段を降りる際にテレマークを意識するなどの日常生活からの意識付けで向上を目指してきた。

 ◆高梨沙羅(たかなし・さら)1996年10月8日、北海道上川町出身。8歳でスキーを始め、11年コンチネンタルカップで史上最年少優勝を果たした。17歳で日体大に飛び入学。五輪は14年ソチで4位、18年平昌で銅メダルを獲得した。22年北京は個人戦で4位、団体戦は1回目のジャンプの後、スーツの規定違反と判定されて失格となり、チームは4位。W杯では男女通じて歴代最多の63勝と、女子歴代最多の116度の表彰台。クラレ所属。152センチ。

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