【ドラフト選手特集・早瀬朔(下)】地元離れ鹿児島・神村学園へ 目標に掲げた球速150キロを高3で達成
10月のドラフト会議で、阪神から指名を受けた7選手(1~5位・育成1、2位)の連載をお届けする。今回はドラフト4位の早瀬朔投手(18)=神村学園。目標に掲げた球速150キロに見事到達した神村学園時代を振り返る。
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最速150キロへの道のりは簡単なものではなかった。早瀬は神村学園に入学後、急激な発育と初の寮生活でのストレスで体重が激減した。
入学時は175センチ、83キロ。1年時から身長が勢いよく伸び始め、夏の時点での体重は23キロ減の60キロ。周囲に心配されるほどガリガリになった。
元々太りやすい体質ではなく、食べる量は同量でも体重はすぐに減った。加えて、スマホを触れる時間は1日30分など厳しいルールが定められた慣れない寮生活。簡単に家に帰れない距離とあって、ホームシックになることもあった。夏の甲子園に出場した3年生の姿にも圧倒され、「ここでやれるんかな」と不安も抱えながら過ごした。
それでも野球への闘志は燃やし続けた。有名校の先輩を見て「球速よりも球質やキレが大切」と考えをシフトチェンジ。キャッチボールから意識を変え、先輩の姿を見てトレーニングにメディシンボールを取り入れるなど、地道な努力を積み重ねた。
2年時は登板機会に恵まれ、夏の甲子園では2試合に先発。ともに勝利へ導き、ベスト4進出に貢献した。それでも「まだまだ体がダメだなって」。周囲のトレーニングを観察して取り入れるなど、工夫を続けた。
2年秋の九州大会では最速146キロをマーク。「目標にしていた球速150キロに近づけたのが一番大きかった」。プロ入りへの可能性を感じた瞬間でもあった。
2年冬には食事を1日6~7食に増やし、ウエートトレーニングに励んだ。25年1月には股関節を疲労骨折。それでも回復までの期間は、投球動作ではなく体作りに一層注力した。24年夏に68キロだった体重を、約半年で78キロまで増量させた。
3年夏の鹿児島大会では最速150キロに到達。プロ入りを狙う上で、目標に掲げた球速をようやくクリアした。25年9月のU-18ワールドカップでは最速を更新する151キロも計測した。
紆余(うよ)曲折を経てたどり着いた憧れの世界。阪神ファンの兄から「結果出さんかったら知らんで」と“愛のムチ”をもらった。甲子園での“愛あるヤジ”は初登板の2年時に経験済み。「相手の応援も自分が応援されてるかのように、ノリながら投げた。(阪神戦の甲子園は)応援がすごく熱い。自分にとってプラスに変えて投げたい」。縁ある聖地でサクセスロードを歩んでいく。
◆早瀬 朔(はやせ・さく)2007年8月30日生まれ、兵庫県出身。18歳。185センチ、79キロ。右投げ左打ち。神村学園では2年春夏、3年夏に甲子園出場。U18W杯では3試合に投げ自責点0。打者に向かっていく投球スタイルで、150キロに迫る直球を投げる本格派右腕。
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