佐藤義則さん 日本シリーズ振り返り&提言「下位および控え打者の差が出てしまった」
日本一奪回を目指す阪神の秋季キャンプも第2クールに入った。振り返れば日本シリーズは阪神が先勝も、そこから4連敗と、ソフトバンクの完勝だった。シーズン、CSで圧倒的強さを誇った阪神の敗因はどこにあったのか。そこから浮上するには何が必要か。デイリースポーツ評論家・佐藤義則氏の見立ては以下の通りだ。
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幸先よく1戦目をものにして、よく言われているのが2戦目にデュプランティエを先発させたことの是非だ。
私の予想はCS同様、1試合目から村上、才木、高橋という先発陣で主導権を取りに行く形だった。
もちろんチームとしてはデュプランティエの調子がよかったとか、シリーズを見渡してかなり早くから方針を固めていたなど、事情はあったはずだ。
ただここで、あえて予想される順番をいじってくるのであれば、2戦目に高橋かな、という感覚をもっていた。というのもソフトバンクはとにかく、左バッターがいない。右で要注意の打者は山川だけだ。
村上、才木という右のエース格を開幕戦、甲子園の頭(第3戦)にもっていくなら、2戦目は高橋、もしくは大竹を先発させるというのが、勝つ確率の高い起用法だろう。
しかし敗因の第一として挙げたいのは、そこではない。打線だ。
圧勝したシーズンを振り返っても、阪神の戦い方というのはとにかく安定した投手陣が試合をつくる。その中で、相手のミスにつけこんだり、ここぞというところで勝負強さをみせて、得点をもぎ取る形が多かった。
つまり、特に森下、佐藤輝、大山のクリーンアップによる勝利が目立った一方で、23年のように下位打線がチャンスメークしたり、クリーンアップが作ったチャンスを得点に結びつけるという場面は少なかった。いわゆる大量得点で打ち勝つチームではなかった、ということだ。
加えてシリーズでは、下位打線が機能しなかったことは継続しつつ、大山も調子が上がらなかったという皮肉な形に追い込まれたため、得点力もシーズンの“2/3”に減ぜられた形で戦わなくてはならなかった。また、代打も近藤を使えたソフトバンクと比較すれば、いわゆる切り札的な戦力という意味では見劣りした。
奪回へ向け、課題は明白だ。2戦目の先発の是非は問題ではない。控えも含めた、1~5番以外の打力の底上げ。これしかない。平均的に4~5点を取れる打線を作り上げることが、来季の日本一へのカギとなる。
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