【野球】なぜ阪神・藤川監督は2戦目にデュプランティエを先発させたのか 大敗から始まった4連敗

 2回途中、デュプランティエの降板を告げる藤川監督(26日)
 1回、勝ち越しを許しベンチに戻ったデュプランティエ(中央)は安藤コーチ(左)から声を掛けられる(26日)
 1回、山川に勝ち越しとなる2点適時二塁打を浴びたデュプランティエ(中央右)のもとに集まる阪神ナイン(26日)
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 2年ぶりの日本一を目指した阪神の戦いは、本拠地3連敗で幕を閉じた。柳田に同点2ランを浴びた石井の涙。第6戦の先発が予定されていた村上を延長十回から投入する勝負手も、野村の決勝弾に打ち砕かれた。先勝からの4連敗。流れが大きく変わったとするならば、1-10で大敗を喫した2戦目ではないだろうか。

 阪神OBの中田良弘氏は声を大にした。「なんで2戦目の先発がデュプランティエだったんだろう」。下肢のコンディション不良により、右腕の1軍最終登板は5回2失点だった8月9日のヤクルト戦で、実に78日ぶりの実戦だった。

 初回に佐藤輝の適時打で先制しながら、直後に栗原、山川の連続適時打で3点を奪われて逆転を許すと、二回にも周東、近藤の適時打に暴投も重なって3点を失い、2死二塁のピンチを残して降板。2番手・岩貞が死球から山川に3ランを浴びて一挙6失点。7イニングの攻撃を残してはいたが、限りなく勝算は低くなった。

 デュプランティエは1回2/3を6安打3四球の7失点。右腕は「特に言い訳はない。悪い登板でした。自分の仕事を全うできなかった。自分の投球ができなかった。コントロールすることができなかったっていうのが原因」と反省した。

 中田氏は「こんなに登板間隔が空いている投手をなんで日本シリーズという頂上決戦の先発で投げさせる必要があったんだろう。球の勢いもなかったし、細かなコントロールにもブランクを感じさせるピッチング内容だった。でも、いきなり結果を出せという方が酷な話。ファイナルSと一緒で、村上→才木という順番で良かったんじゃないか。阪神側が2戦目の相手先発をモイネロと読み、負けた時のダメージの大きさを考えた場合に才木を3戦目にした方が…という話も耳に入ってきたけど、ここで奇策を打つ必要はなかった。定石通りに戦えば良かったと今でも思うし、もしデュプランティエを2戦目に投げさせるのであれば、ファイナルSのどこかで登板させておけば良かった。やっぱりシート打撃と実戦は全くの別物だから。ファイナルSで投げておけば、ある程度のことは把握できるし、本人も安心できたと思うんだけどな」との見解を示した。

 藤川監督はオーナー報告後の会見で、デュプランティエの先発起用について「その辺はご想像にお任せします。常にそういう結果というのは、正解が出た場合には何も言われないところなんですね。そういったところはいろんなところで楽しんでいただければいいのかなと。私は常に明日を見ています。評論のところですから、それはいつでも評価していただければいいんじゃないでしょうか」としつつ、核心を語ることはなかった。

 序盤で大味な試合展開になったことで、阪神は伊原、ドリス、湯浅、畠に登板機会を与えられ、ヘルナンデス、熊谷、梅野、小野寺を打席に送ることができた。2戦目を終えて1勝1敗。数字上は五分。ただ、それ以上に、初戦を村上-及川-石井のリレーで勝利した流れを手放した損失の方が大きかった。

 中田氏は「山川を完全に乗せてしまったのが2試合目。シーズンは定石通りに戦ってぶっちぎりで優勝した。その戦い方と同じで、仮に2戦目の先発をモイネロと読んで才木とのマッチアップを避けたかったのだとしても、デュプランティエではなく、高橋、大竹という選択ならシーズン通りだったと思うし、多くの人が同じ負けでも納得したのでは」と述べた。

 2戦目も勝利し、連勝を飾っていれば戦局は大きく異なり、藤川監督の“奇策”も称賛されていただろう。ただ、この試合を境にチームは4連敗。敗因のひとつとして、クローズアップされる形になった。(デイリースポーツ・鈴木健一)

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