阪神・原口 闘魂ヘッスラ 代打の代打で今季初安打初打点 CSに向け「もっと結果を出していきたい」
「巨人11-10阪神」(13日、東京ドーム)
執念の一打でチームを勢い付けた。阪神は九回逆転サヨナラ負けを喫し、今季最後の伝統の一戦を白星で飾れなかった。乱打戦となった中、原口文仁内野手(33)が五回に代打の代打として今季初安打をマーク。一時同点に追い付く適時打で、一挙7得点を呼び込んだ。負けられないCSファイナルSに向け、経験豊富なベテランが戦線に帰ってきた。
原口はバットを放り投げると全力疾走し、一塁へヘッドスライディングした。泥くさく灯(とも)した今季初のHランプ。手をたたき、感情を爆発させた。
「当たり的にはきれいなヒットじゃなかったんで、なんとか1本欲しいって気持ちでした」
五回、1点差に追い上げなおも1死満塁の好機だった。代打・楠本が告げられた後、相手投手が高梨にスイッチすると、代打の代打で出番が巡った。準備はできていた。3球目のツーシームに食らいついた。バウンドした打球が高梨を襲う。「みんながつないでくれた重要な場面だったので、そこで1本出たのは良かった」。同点に追いつく適時打は今季13打席目での初安打、初打点となった。
国内FA権を行使し残留を決めたプロ16年目は苦しんだ。開幕1軍も、代打として結果を残せず4月中旬に出場選手登録抹消。その後も1軍に定着できず、2軍暮らしが続いた。ベテランだからといって優遇されるわけではない。「2軍で試合に出るのも大変なんですよ」。アピールする機会をつかみ取るのに必死だった。
それでも後輩の前で弱音を吐くことはない。降格した時には「上がって1打席目に結果を残さないとダメだった」と自分に厳しかった。2軍でその姿を見てきた野口は「準備も本当にすごいし、心から応援したいと思う。フミさんが打ったら僕もすごくうれしいんです」と明かす。後輩にそう思わせるほど、若手の中にいても懸命に汗を流し続けてきた。
優勝の輪には加われなかったが、やっとスタートを切れた。東京ドームは思い出の場所でもある。埼玉出身の原口は幼い頃から巨人ファンで、初めて観戦したのも巨人戦。父に連れられてよく東京ドームも訪れた。開門前から並んで、松井秀喜、高橋由伸といったスターたちの練習にくぎ付けになった。初めて買ってもらったキャッチャーミットは阿部慎之助モデル。手にはめて寝るほど大事な宝物だった。
そんな“原点の地”で、欲しかった一打が出た。「期間も打席数もかかってしまった」と話しながらも、ほっとした笑みがこぼれた。チームは今季最後の巨人戦で惜敗したが、いい戦いは見せられた。次の目標は日本一。ポストシーズンへ原口にとっても大きな一戦となった。「次の戦いがあるので、もっと結果を出していきたい」。苦しんだ分だけ、ここから何度でも花を咲かせる。
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