阪神・藤川監督の長男「お父さんのスタンスは昔から“やりたいことをやればいい”」【バスプロ藤川温大氏手記】

 「阪神2-0広島」(7日、甲子園球場)

 阪神・藤川球児監督の長男で、バスプロ(プロアングラー)として活動する藤川温大氏(23)が祝福手記をデイリースポーツに寄せた。釣り好きで知られる球児監督の影響も受けて、釣りの世界でプロとして戦う温大氏。現役時代から監督就任、そして球団初の監督1年目V達成まで、息子の目から見た“父・球児”の姿を打ち明けた。

  ◇  ◇

 まずはひと言、おめでとう!!盛大なことを言うよりも、いつも通りの感じでいいかな。そういう方が、普段あんまり言葉は交わさなくても分かり合える、僕たち親子らしいなと。何て言うのか、もちろん親子ですけど、友達に近い関係性だと思っているので。

 今年は1回も球場に見に行けてないけど、速報をチェックしつつ、チャンスやピンチの場面では中継を見たりしていたので、ほぼ毎試合を追ってはいました。お母さんや妹たちとは、『また勝ってる、強いな』、『また佐藤選手がホームラン打ってるわ』って話したり。ピンチの時は頑張れと応援することもありました。

 現役時代と違って難しいところがあったと思うけど、1試合1試合勉強しながら戦ってきたんだと思います。自分だけじゃないんで、チーム全体を考えて。自分が抑えるとチームが勝つのとは違う話なので。自分じゃどうしようもないこともあると思います、現役選手じゃないので。阪神では監督1年目での優勝がこれまでないということですし、純粋にすごいと感じています。

 クライマックスシリーズと日本シリーズは短期決戦なので、戦い方も変わるかもしれません。まだ選手でしか経験したことないですし、監督として初めてで、また難しいところがあると思うけど、しっかりやってくれると信じています。

 プロ野球選手がそもそも少ない中、監督までなれる人ってそうはいないし、チャンスがあるなら、お話をいただけるなら、やったらいいんじゃないかなって僕は思っていました。なる気がない感じもしていたけど…。それが昨秋、家のリビングで「監督なるわ~。今日から監督って呼べよ!!」とサラッと報告してくれて。家族会議みたいにかしこまった感じじゃないのが、らしいなって。

 今年のシーズン中、お父さんと野球の話をしたのは1、2回くらい。僕の中で線引きじゃないけど、こっちからは踏み込まないようにしていました。試合はちゃんと追ってはいるけど、それでも素人とプロなので。何か言われて返す感じで、「どこどこの場面が、どうやった」みたいに、ちょろっと話した程度だったと思います。

 お父さんは周りを楽しくさせてくれる人。仕事でもそうなのかもしれないけど、家族を明るくしてくれるし、しゃべるのも面白い。家族5人でいる時は、本当に楽しくて。現役の頃はなかなか一緒にいられなかったけど、引退後にはこれが普通の父親というか、普通よりもはるかにやってくれてたと思います。家族の時間が増えたことで、今までできなかったこともいろいろしてくれましたし。

 現役時代は僕たち子どもが寝てる時に帰って来る仕事で、遠征もあって基本的に会えない感じで。唯一月曜が休み。毎週月曜に釣りに連れて行ってもらうのを楽しみにしていました。結構タイトなスケジュールでも連れて行ってくれて。早朝に家を出て釣りをして、昼過ぎにお父さんだけ次の試合への移動で、空港に行ったり。今考えると、そういうことをしてくれていたのはすごいなと感じます。

 小学校の時は僕も野球をやっていたので、休みの日に試合を見に来てくれていたのも覚えていて。僕もピッチャーだったけど、アドバイスはそんなにしてもらったことはなくて。ピッチングより、バッティングを教わっていたかも。意外とバッティングが好きだったし。6年生くらいの時にアメリカに引っ越して、僕は野球をやめちゃったけど、「続けたら?」とは言われなかったと思います。「やりたいことをやればいい」というお父さんのスタンスは、昔からだったし。

 物心ついたときから一緒に釣りをして、小学校低学年からはバス釣りにハマって。16歳の時にバスプロを目指したいと話したけど、僕がやりたいことを素直に応援してくれて、背中を押してくれたと感じてます。18歳の時から大会でプロ戦に出始めて、この5、6年ですでにプロである厳しさを実感してるので、なおさらお父さんのすごさを感じてます。苦しいタイミングもいろいろあった中で、今は監督としてこうなっていることに。

 今年からJB(日本バスプロ協会)の大会で一番上のカテゴリーの、JBトップ50で戦えるようになり、次の目標もできました。プロになる時に日本の一番上を知りたくて、そこはクリアできたので、次はバス釣りの本場アメリカに挑戦できたらなと考えてます。アメリカは成績を残せば、釣りの試合だけでご飯を食べていける環境なので。ただ、お父さんがメジャーでアメリカに行ってたことも、挑戦の要因の一つでもあります。

 バスプロとしてのシーズンは11月くらいまで。お互いオフになったら、今年1年よく頑張りましたということで、国内でも海外でもちょくちょく釣りに行きましょう。のんびりと過ごしてもらって、また来年へとなってくれたらいいなと思ってます。

 ◆藤川温大(ふじかわ・はると)2001年11月30日生まれ。家族構成は父・藤川球児、母、妹2人。バスプロ・今江克隆氏のルアーメーカー「イマカツ」のプロスタッフ。YouTubeでバス釣りの試合動画を見たことをきっかけに、16歳の時にバスプロを目指す。18歳からプロ戦出場。今年からJBトップ50に参戦。

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