新人監督V藤川阪神のウラ側 礎になった視野広く細やかな球児流マネジメント 故障箇所や履歴を洗い直すところから始動

 阪神が2年ぶり7度目のセ・リーグ制覇を達成した。就任1年目の藤川球児監督(45)が成し遂げた球団史上初となる新人監督V。NPB史上最速で歓喜のゴールを迎えた藤川野球を連載「球児虎 火の玉V 凡事徹底の裏側」でひもとく。最終回はコンディション編。

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 他球団に目を向けると、主力のケガによる長期離脱が目立った今季。藤川阪神には石井の打球頭部直撃のアクシデントはあったが、レギュラー陣は大きなケガとはほぼ無縁で、歓喜のゴールまで走り抜いた。コンディションへの細やかな配慮は球児流マネジメントの特徴でもあり、昨年11月に故障箇所や履歴を洗い直すところから始まった。

 主力を欠くことなく1年間戦い続けられたことは、独走Vの大きな勝因に挙げられる。藤本総合コーチも「全体的に見ると、キャンプから掲げていた危機管理というか、大きなケガがなかったっていうのは、いい結果につながっているのかなと。それが一番ですね」という認識。“凡事徹底”のたまものでもあり、「選手の自己管理っていうのが、すごい成長したんかなと。こちら側が言うまでじゃないところで、しっかりと準備してくれる」とうなずく。

 層が厚いブルペンに対してリリーフを知り尽くす藤川監督が振ったタクトで、最長は3日連続登板。4度あったが、すべて前半戦だった。4月の石井と及川、6月の湯浅と岩貞が、それぞれ1度ずつ。疲れがたまる夏以降は一度もなかった。

 ミーティングでは選手の状態が藤川監督とコーチ間で共有され、コンディションを考慮した1、2軍の入れ替えが多発。安藤投手チーフコーチは「監督は選手をよく見られている。選手の体を大事にして、長いシーズンを考えての起用」と回想する。「僕たちも選手の体調とか日々の変化を、より気を付けて観察するようになりました」。投手のみならず、野手にも積極的休養を取り入れた。

 藤川監督が見せる選手の体調への気遣いは多岐にわたった。酷暑対策として“クールビズ”を取り入れて、ホームゲームではハーフパンツでの練習を解禁。ビジター球場への長距離移動では、ポロシャツの着用も許可された。

 他球団が練習中のグラウンドに日よけ用テントを設置しているのを参考に、甲子園でも導入。ベンチでは日陰を少しでも作るために可動式のヒサシを伸ばしていたが、出入りする選手が頭をぶつけないよう、スタッフに注意喚起を促した。指揮官の視野が広く細やかなマネジメントが、コンディションキープの礎となった。

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