「柔の坂本、剛の梅野」 克則コーチが語る阪神の「球児流捕手併用術」 後継育成へ「ノムラの教え」注入も

 野村コーチ(左)と話す梅野(撮影・西田忠信)
 富田をリードする坂本(左)
 ビーズリーとバッテリーを組む梅野(右)
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 阪神が首位争いを続けられているのは、投手、打線の他に捕手の存在も大きい。梅野、坂本を併用し、投手や試合ごとに代えている“藤川流起用法”のメリットを野村克則バッテリーコーチ(51)が語った。また、栄枝をはじめとした次世代の捕手育成の必要性も述べ、選手たちに伝えている父・野村克也氏の教えも明かした。

 梅野、坂本が役割を果たしていることが、藤川阪神の強さを支えている。9日現在、梅野は出場15試合、114回で自責点31、防御率2・45、坂本は出場23試合、177回2/3で自責点48、防御率2・43。先発ローテにドラフト1位・伊原、門別、デュプランティエ、中継ぎには育成ドラフト1位・工藤らも加わり、入れ替えも激しい中でしっかり投手陣をリードして白星につなげている。

 野村バッテリーコーチも「先発によってキャッチャーを代えているのがうまいこといっている。梅野も坂本も、役割をしっかり果たしてくれている」と評価。2人にはそれぞれの良さがあると明かす。「剛の梅野、柔の坂本。坂本は状況によってうまく合わせてできる。梅野は奇襲、奇策を盛り込んだ配球ができる」という。

 その上で大事と話すのが「適材適所」だ。「去年の巨人は三者三様でキャッチャーが出てうまいこと回っていた」と大城卓、岸田、小林の3人がマスクをかぶった昨季の巨人を例に挙げた。「併用するというところでは、タイプ的には違う方がいいんじゃないかな」と梅野と坂本も違う特徴を持つからこそうまくバランスが取れている。それが顕著に表れた試合が5日の巨人戦だった。

 富田-坂本で始まったが、四回からビーズリー-梅野にバッテリーごと交代。結果、10-1で圧勝した。野村コーチは「監督が決めることだけど、ピッチャーとの相性を見て代えていると思う。それがはまったんじゃないかな。坂本が悪いから代わったわけじゃない」と説明。続けて、「坂本のいいところと梅野のいいところがちゃんと出たと思う。4回からノーヒットでいって勝ちにつながったし、流れを持ってきた」とうなずいた。

 一方でチームとしては今後の課題もある。「いつまでも梅野と坂本でというわけにはいかない。キャッチャーを育てていかないと」。栄枝が開幕から1軍に帯同しているが、今季マスクをかぶったのは1試合のみ。「いいチーム状態から流れを変えたくないのもあるだろうし」と話した上で、「キャッチャーは試合に出なきゃ覚えない。ちょっとずつ試合慣れしていってくれたら」と実戦経験を積ませながら育てていきたい考えを示した。ファームには高卒6年目の藤田やドラフト4位・町田(BC埼玉)らもいる。常勝軍団で有り続けるためにも捕手育成は必要だ。

 父・野村克也氏とは選手としてもコーチとしても同じユニホームを着た。父の教えは今も選手たちに伝え続けている。「『配球は全てが結果論』と言われていた。結果が出なきゃわからない。そこから学ぶ、反省する、次に生かす。そこが大事なところ」。打たれたとしても、その結果を受け止めて考えることが大切。「ノムラの教え」も注入しながら、捕手王国を作り上げていく。

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