タイガース90年の集大成 SGLスタジアム宮脇則昭球場長 ファーム異例の動員力の秘けつ「やっぱり阪神ファンはすごい」

 3月1日のオープニングゲームには多くの観客が駆けつけた
 
2枚

 裏方の仕事にスポットを当てる企画「密着仕事人」。今年3月に新2軍球場の日鉄鋼板SGLスタジアムが開業した。運営を任されているのが、球場長の宮脇則昭氏(56)だ。現役引退後は球団マネジャーやスカウトなどを歴任。数々の要職を経験した“虎の生き字引”。多い日で来場者4000人以上を記録するなど、2軍球場としては異例の動員を誇る秘けつに迫る。

 開業して5カ月の日鉄鋼板SGLスタジアムが、尼崎市の新しいシンボルになろうとしている。運営、指揮を執るのが宮脇氏だ。ここまでの球場の歩みを振り返り「あっという間だよね。ここまでいろいろあったけど、大きいお客さんの事故もなくいけてるのが一番良いのかな」と胸を張った。「関西に来たら必ずSGLを見ようよとなる球場にしたい」。目標は関西といえばSGLにすること。球場の未来を見据え、目を輝かせていた。

 観客動員数は最大で4357人とファーム球場としては異例とも言える数字を記録している。「場所が良いよね。大阪梅田、難波も阪神線が通ってて、奈良とか神戸も来場しやすいよね。それとやっぱり阪神ファンってすごいよね。それだけファンの方が多いというのを教わったよ」と興奮気味に話した。大物駅はいつも虎党の熱気に包まれている。

 気になるのが球場長の仕事内容だ。「僕の仕事は試合中の事故がないように警備員の方たちと一緒に見たりとか、開門作業だよね。開門指示などは僕が出してます」。いつも、開門の時間には入り口に宮脇氏の姿がある。そして、来場者の安全が第一。全ての来場者が笑顔で帰るために、常に目を光らせている。

 選手としては88年に入団した宮脇氏。現役時代にSGLがあったら?と問うと、ニヤリ。「そりゃ今入団したかったよな」と冗談交じりに笑った。続けて「僕らが入ったときは言ってしまえば暗黒時代だった。それが試行錯誤を続けて、ようやくAクラスに残り続けている。球団の歴史と取り組みが実を結んでいるよね」。恵まれた環境は球団の努力のたまものなのだ。

 この球場の展望についてアイデアがある。「OBのレジェンドを球場の壁に掲示したりだとか、阪神の歴史をファンの方に見ていただきたい」。阪神の歴史を継承するために、球場に刻んでいく。きっと虎党も喜ぶはずだ。

 続きがある。「それから…」と宮脇氏が口を開いたのは2年前に亡くなった元・阪神の横田慎太郎さんについてだった。「彼が引退したときは、僕がファームディレクター1年目。引退した時、野球ができなくて悔しいって言ってたことが、一生忘れられない。ヨコの分も選手たちには頑張ってほしい。だからヨコの存在も球場に刻みたい」と志半ばで亡くなった盟友への思いを吐露した。

 この仕事にはやりがいがある。「タイガースに90年の歴史があるから今がある。僕としては、SGLが90年間球団に携わってこられた方の集大成だと思っている。それを守っていくのが宿命かなと。その宿命がやりがいだよ」と宮脇氏。この球場が阪神のさらなる歴史を紡いでいく。

 ◇宮脇 則昭(みやわき・のりあき)1969年4月29日生まれ、56歳。熊本県出身。大牟田高から1987年度ドラフトで阪神から4位指名。投手から外野手に転向したが、1軍出場はなし。90年限りで現役引退。2軍マネジャーなどを歴任し、今年からSGLスタジアムの球場長に就任した。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

阪神タイガース最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(阪神タイガース)

    話題の写真ランキング

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス