福留 虎を鼓舞!反攻15号&マルチ

 「巨人11-2阪神」(11日、東京ド)

 その瞬間、流れは猛虎に傾きかけた。この男の一撃には、そういう力が込められている。2点を追う四回2死。ここまで巨人・マイコラスの前に安打はおろか、1人の走者も出せていない。だが、その中で阪神・福留が猛虎の意地を見せつけた。

 ファウルで粘りながら待ち続けた、フルカウントからの8球目だ。149キロの内角直球をはじき返した打球は、一直線に右翼席を目指し、そしてG党の悲鳴の中に消えた。

 「完璧な当たり?そうでもない。ちょっと詰まったんじゃない」。豪快な本塁打。ただ福留は、いつものごとく淡々と振り返った。それまで打線が完璧に抑えられていた状況にも「別に何とも」と話すだけだ。それでも、この一打が相手右腕のリズムを崩した。

 続くゴメス、マートンの連打に四球が絡み満塁の好機をつくる。だが、今成が捕邪飛に倒れて1点止まり。和田監督が「孝介(福留)の一発で、雰囲気も流れも変わりかけた。たたみかけられなかったね」と悔やんだ攻撃は、試合の流れをつかむに至らなかった。

 その後も巨人が追加点を重ねるが、福留は六回無死一塁で右前打を放ち好機を拡大するなど、敗戦の中で光を放っていた。

 調子が上がり始めた5月。福留は「調子はその日によりけり。ただ、体がうまく反応できている」と状態への手応えを口にした。タテジマをまとい故障と闘ってきた日々。乗り越えた先に、昨季まで苦しんだ内角球を見事にさばく、全盛期と重なる姿を取り戻した。

 首位・巨人に連敗。しかし、混セの流れは日ごとに変わる。「明日は必ず獲りたい?そうだね。また明日」。視線は前を見据えたまま、いつもより早足に東京ドームの通路で歩を進めた。

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