和田虎奇跡起こせ!甲子園に帰ってこい

 「日本シリーズ・第4戦、ソフトバンク5-2阪神」(29日、ヤフオク)

 無敵の守護神が沈んだ。延長十回2死一、二塁から阪神・呉昇桓投手(32)が中村に右翼スタンドへ運ばれる1号3ランを浴びサヨナラ負け。対戦成績は1勝3敗となり、日本一へ王手をかけられた。このままでは終われない。第5戦、猛虎の意地を見せてくれ。甲子園に帰ってこい。

 腕組みをしたまま、全く動けなかった。放心状態。敗北を告げる打球を追った和田監督の視線は、一点を見つめ、微動だにしなかった。3連敗。サヨナラ負けで王手をかけられた和田阪神が退路を断たれた。

 延長十回、2死一、二塁。すべてを託した呉昇桓がマウンドで崩れ落ちた。こん身の力を振り絞った148キロ直球。切れろ-。切なる願いは無情にも届かなかった。悪夢のサヨナラ被弾。猛虎が鷹に屈した。

 「ボールが高いとは思わないけど、中途半端になってしまった。気持ちはいつもと変わらなかったけど、本塁打を打たれたから、そう見えたんじゃないか。もう質問はいいかな」。来日後初めて、石仏男が質問を遮った。痛恨の1球。冷静ではいられなかった。

 延長十五回制の日本シリーズ。シーズンとは違うルール設定が継投時期を難しくさせた。延長十回。シーズン中なら残り3イニングだが、しのがなければならないイニングは倍も残っていた。

 九回から登板した安藤を続投させ、1死一、二塁のピンチを招いたところで守護神にバトンをつないだが、リレーは勝利となって実を結ぶことはなかった。

 「継投の難しさ?そういうことだよね。本塁打?勝負にいってのことだから」。指揮官として初めて臨んだ頂上決戦。白星をもぎ取る難しさは改めて感じたが、全幅の信頼を寄せる呉昇桓を責めることはなかった。

 初戦は火を噴いた打線が急降下をたどっている。「チャンスはつくったけど、1本出なかったね。ただ、このまま終わるわけにはいかない。甲子園に戻るんだという気持ちで、あしたやるしかない」。和田監督は失意を消し去り、前を向き直した。

 29年ぶりの日本一を勝ち取るには3連勝以外に道はない。確かに苦しさは増した。だが、まだ終わっちゃいない。聖地が待っている。日本一熱狂的なファンが猛虎の帰りを待っている。このまま死ぬわけにはいかない。

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