「明治安田生命Ｊ１、鳥栖０－１神戸」（１８日、駅前不動産スタジアム）

　神戸は新人・ＭＦ泉柊椰が鮮烈のプロ１号を決め、連敗を阻止。単独首位を守った。

　前半２２分、自陣からのロングボールを左サイドで受けると、得意のドリブルで切り込み、ペナルティーエリア手前左から右足を一閃（いっせん）。シュートは美しい放物線を描き、相手ＧＫが動けぬまま、巻き込むようにゴール右に吸い込まれた。

　目の前で飛び込んだスーパー弾に神戸サポーターは「イズミ」コールで熱狂。泉は両手を挙げて応えた。

　角度もコースも何万回と練習した“柊椰ゾーン”。「山川選手からいいボールきた。あそこで前を向いたら仕かけようと思っていたので、得意な形でカットインできて、シュートもいい軌道で良かった」と会心のプロ１号を振り返った。

　本職は左サイドながら、チーム事情で開幕から右サイドで途中起用され、結果が出せなかった。「焦り」もある中、この日、左ウイングで初先発とついにチャンスが巡った。「やってやるぞ」と奮い立った。

　「チャンスだと試合前からずっと思っていた。ここで結果を出してスタメン争いに絡んでいかないといけないと思っていた。途中出場で結果も出せていなかった。そこの焦りもあった。結果を残せてよかった。ゴールのところはかなりこだわった。武器を出すというところで。もともと左なんで勝負だと思った」と燃えた。

　吉田監督が抜てきした理由も「ギラギラ感をプラスにしたかった」とまさにこの新人の気迫。連敗は何としても阻止しなければならない状況で見事に大仕事で応えてくれた。

　昨年のＷ杯カタール大会でも大活躍した日本代表ＭＦ三笘薫（ブライトン）に憧れ、びわこ成蹊スポーツ大での卒論テーマは「三笘のドリブル」。約１００プレーの映像からデータを取り自身と比較しリポート用紙３０ページを書き上げた。「卒業論文の価値は僕のプレー次第で上がる」とまずは鮮烈ゴールで論を“実証”してみせた。

　目標は大卒１年目の三笘がマークした１３ゴール。「かなり自信になるけど、ゴール以外はまだ足りない。練習からしっかりやっていく。ドリブルで仕かけるところもそう。守備で貢献するところとか、ゴール以外は全部物足りないのが自分の感想。ここからやっていきたい。（１号は）全然遅い。もっともっとという、そんな感じ。まだまだ全然です。ゴール、アシスト、ゴールにつながるプレーをもっと出していく」と、まだまだ先にある三笘の背中をしっかり見据え、成長していく。