GK川口、涙の引退試合に楢崎の姿も サッカー界に感謝「足も引っ張りました」

試合後に楢崎(左)のサプライズ登場に感激する川口(撮影・堀内翔)
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 「明治安田生命J3、相模原1-0鹿児島」(2日、相模原ギオンスタジアム)

 日本代表で活躍した相模原GK川口能活(43)が有終の完封勝利で現役ラストマッチを締めくくった。ホーム新記録となる1万2612人が見守る中、J2昇格を決めた鹿児島を相手にゴールを死守した。

 「泣いて喜びました。みんな僕の所に来てくれて、思わず感極まってしまいました」。現役終了を告げるホイッスル。同時にスタンドから敵、味方関係なく発生した“能活コール”。そして次々と駆け寄る仲間の姿に、目頭が熱くなった。

 「1-0という理想的なスコアで終われた」。試合前、DF陣と話し合い、目標に設定したスコアだった。2つのビッグセーブが完封劇をもたらした。前半20分には至近距離から放たれたシュートをセーブ。後半9分には1対1のピンチに前に出てシュートを止めた。そのこぼれ球を狙われたが、これも右手1本で防いだ。

 「1対1は自信があった。守備の所では絶対にやらせないつもりだった。決定的な1対1もあったけど、自分にとってのストロングポイントを最後に出せたのはうれしかった」。

 試合後のセレモニーでは、岡田武史氏、ジーコ氏らのメッセージがモニターに映し出された。名古屋GK楢崎、柏GK中村らも駆けつけた。家族から花束を受けて、顔をくしゃくしゃにした。胴上げでは宙を舞った。最後のあいさつでは、家族1人1人の名を挙げて、さらに過去に携わった関係者に向けてお礼の言葉を並べた。

 「自分が日本のサッカー界にどれだけ貢献できたか分かりません。正直、足も引っ張りました。でも最後の試合でこれだけ多くの方に関心を抱いていただき、感謝の気持ちしかありません」。

 今後については具体的には未定。だが「GKとしてやってきたことを若い選手たちにフィードバックしたい」と後継者の育成が目標。そして後輩GKたちへ「代表でプレーできる喜び、自分より強い相手との対戦を楽しめるくらいのメンタリティーを持ってほしい」とアドバイスを送った。

 「試合中、左のモモ裏が張ってしまって。ただあしたから練習、試合がないと思い、筋肉が離れてもやる覚悟だった。いつもだったら(試合後は)急いでアイシングしてケアをするんですけど、それをせず終われる」。

 寒空の下、治療もせずにセレモニーに臨んだことで、実感した引退。「一生忘れないですね。キャリア最後の試合をこういう形で締めくくれて良かった」。マイアミの奇跡、W杯4大会連続代表。日本を支えた名GKが、相模原の地で、25年の現役生活を終えた。

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