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「W杯アジア最終予選、オーストラリア1-1日本」(12日、ブリスベーン)
普段は寡黙な男が、興奮を抑えきれず走り出した。後半20分、DFの栗原は、本田からパスを受けると、目の前のゴール目がけて右足を強振した。「ほとんど圭佑くん(本田)の得点。いいボールが来て、そこに詰められた」。“影のヒーロー”をたたえながら笑顔で2戦連発ゴールを振り返った。
直前のCKの場面では、ポジショニングをめぐって、審判の仲裁が入るほど相手選手と激しく競り合った。「なかなか点を取る機会がなかったので」。FW級の得点への意欲、気迫が、待望の先制点につながった。
本職の守備もきっちりこなした。ヨルダン戦で右ひざを負傷したDF吉田に代わり、最終予選初先発。前半19分には、体を張ってシュートをブロックするなど奮闘した。「もっと強い選手が世界にはいる」と自己評価は厳しいが、代役とは思わせない活躍ぶりだった。
だが、代償も大きかった。前半22分、カウンターから抜け出たFWケーヒルを倒してイエローカード。後半44分には相手選手と競り合い2度目の警告を受け退場。「オフサイドだと思った。笛が鳴ってびっくりした。カードまで出てびっくり」。“攻守のヒーロー”は、志半ばにピッチを去ることになった。
3次予選・北朝鮮戦を控えた昨年8月末、練習後にザッケローニ監督から「成長していない。去年の方がいいパフォーマンスをしていた」と説教を受けた。代表では出場機会に恵まれずベンチを温める日が続いた。そのうっぷんを一気に晴らした。
レギュラー奪取へ十分なアピールだったが、イラク戦(9月11日・埼玉ス)出場停止という皮肉な結果になった。「引き分けという展開には満足していない」と話す“第3の男”は、再び輝く日のため爪を研ぎ続ける。
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