アマボクシングでも練習中の事故で開頭手術 日本連盟が公表 39歳男性が急性硬膜下血腫で 現在も意識不明
アマチュアボクシングの競技を統括する日本ボクシング連盟は22日、都内で記者会見を開き、今月8日にアマチュア登録の39歳男性競技者が練習後に救急搬送され、急性硬膜下血腫で開頭手術を受けていた事案を公表した。現在も搬送先の千葉県内の病院で集中治療室(ICU)に入っており、意識が回復していないという。プロボクシングでは今月2日の興行に出場した2選手が相次いで急性硬膜下血腫で死去する事故が発生していた。自身が医師でもある日本連盟の仲間達也会長(44)は「試合中はアマチュアはかなり安全対策は厳しく行っている。試合前健診を行うし、ストップも早い。プロと比較しても重大事故のリスクが圧倒的に低いが、今回は練習中に発生した。練習中の安全管理は(プロアマ)共通の課題」と話した。
日本連盟によれば、搬送されたのは39歳の男性で、現役を引退していたものの、約10年ぶりの大会出場を目指して今年7月から本格的な練習を再開していたという。8月6日にアマチュア加盟のプロジムで軽めのマスボクシングを行い、8日にスパーリング3分×3ラウンドを行ったが、練習後にジム内で座っていたところ意識レベルが低下し、呼びかけに反応しなかったことから救急搬送された。
今回の事案ではヘッドギア、大きめのグローブをつけて練習しており、スパーリング映像を確認した仲間会長も「普通のスパーリングだった。ダウンは全くなく、クリーンヒットもなかった」と特に危険なシーンはなかったと説明。ただ、男性は2008年に軽めの硬膜下血腫が見つかり治療していたことも判明したというが、仲間会長は「(今回の事故との因果関係は)なんとも言いがたい」と話した。
日本連盟では組織体制の変更等もあり、過去の事故に関しては全数データを把握できているわけではないものの、近年では2019年に硬膜下血腫で開頭手術(後に社会復帰)、22年に硬膜下血腫で保存療法を行った事例があるという。1925年の日本連盟発足以降、死亡事故は数件あるというものの、仲間会長は「(アマチュアでは)2021年世界ユース選手権でヘビー級のヨルダンの選手が亡くなっているが、試合の中では非常に少ない。ストップの早さ、管理体制の厳格さ、搬送・医療ルートの確保等もあり、プロに比べて(事故リスクは)100分の1くらいという論文がある」と述べた。
日本連盟では競技者登録の際にMRI検査を受けることを義務づけているものの、初回以降は年に1度の健康診断を受診すれば試合に出場できるという。今回の事故を受け、35歳以上の選手や、5年以上ブランクのある選手には初回登録時と同様にMRI検査を義務づけるルール改正を検討するという。
また、リング禍が相次いでいることを受け、この日の夜にはプロ競技を統括する日本ボクシングコミッション(JBC)と緊急会合を行い、安全対策について意見交換の場を設ける。





