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ミスター土方歳三役 俳優・栗塚旭は記念館設立目指す 82歳、今も映画出演

 「新選組血風録」「燃えよ剣」などの土方歳三役で一世を風靡した俳優・栗塚旭。82歳のいまも元気で、年1、2本の映画に出演している。若さの秘訣は「映画館で、毎日1本映画を見ること」という。来年をめどに「栗塚旭記念館」オープンを目指している。

 元々は北海道出身。父を幼い頃に亡くし、中学3年で母も他界。京都で働いていた兄を頼り、引っ越した。母を亡くした悲しみも大きかった。だが「小さな頃から映画が大好きだったので、“日本のハリウッド”と呼ばれた京都に住めることが嬉しかった」と映画への思いが、悲しみを乗り越えさせた。

 高校卒業後「劇団くるみ座」に入り、主宰の毛利菊枝の付き人に。「付き人として、太秦の撮影所に行くのが何よりも楽しみだった」と栗塚。それでも役者だけでは食べられず、モデルやラジオのDJなどもやっていた。転機が訪れたのは27歳。東映京都テレビプロの第1作である「忍びの者」の明智光秀に抜擢され、注目を浴びた。

 そして翌年の「新選組血風録」で主役の土方歳三を演じ、一躍スターダムに。ニヒルな雰囲気がぴったりと合い、まさにはまり役。さらに「燃えよ剣」でも再び土方を演じた。「いまでも栗塚旭といえば土方歳三。土方しかできない役者だなんてレッテルを貼られたこともあります。だけどレッテルは代表作ともいえる。むしろありがたいですよ」と温和な笑顔を見せる。

 テレビでは、リアルな芝居が求められた。栗塚は小さな頃から体が弱く、運動は一切やったことはない。それがテレビの殺陣には生きた。「歌舞伎や映画俳優の方は、流れるように美しい殺陣だった」と振り返る。「けれど僕の場合は運動神経もよくないし、剣道もやっていないから木訥(ぼくとつ)なぎこちない殺陣。それがテレビでは真実味があるように見えたのかもしれない」と分析した。

 いまも映画を中心に活躍するが、PXGXFという日本の着物や古布を素材にした洋服ブランドのモデルも勤めている。「役者として食べれるようになる前は、モデルもやっていたから」と、古武士のような男の色気も垣間見せている。

 今年はその土方の没後150年。栗塚以前にも、そして以後にも多くの役者が土方を演じてきたが、やはり土方=栗塚のイメージが強く、いまでもさまざまな土方や新撰組イベントに呼ばれることも多い。

 その土方同様、栗塚も独身を貫いているが「以前は『独身は土方に殉じて』と言っていましたが、忙し過ぎて結婚できなかっただけ」と茶目っ気タップリに笑う。「当時は京都と東京を往復する飛行機と新幹線の中だけが睡眠時間。何年も布団の中で寝れなかった」という。

 元々、京都・哲学の道に約300坪の自宅を構えていた。その一部に兄嫁が切り盛りする喫茶「若王子」をオープンし、ファンの憩い場所としていたこともある。だが兄嫁も他界し、喫茶店も閉店。さらに昨年の台風で茶室はつぶれ、母屋も半壊してしまい、京都市内の北白川のビルに移住した。「まさかこの年で、天災で引っ越すことになるとは」と苦笑い。「もうつぶれるのは嫌だから、今度は鉄筋コンクリート」と笑う新しい住まいで、新しい目標を見出した。「記念館を作ろうかと。ファンの方との交流が出来る場所です」と笑顔を見せる。

 ビルの1、2階部分を記念館にする予定で、現在展示物を選定中。ファンの遺族から送られた資料は「記念館の中心になるくらい、貴重なもの」だという。さらに引っ越しで家を整理していると「兄嫁の行李の中から、僕が昔使っていたものが出てきた。大切にとっておいてくれたんです」と思い出の品も見つかった。「まだ荷解きは全部できてないけど、来年くらいに記念館をオープンしたい」と少年のように瞳を輝かせた。(デイリースポーツ・石川美佳)

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