【松本浩彦医師】「やせたければ食べるな」運動より食事量

 【Q】メタボ健診を受け、上腹部超音波検査で脂肪肝、膵脂肪浸潤と出ました。もっとたくさん運動を、と言われました。あと、食事やお酒はどう注意すればいいでしょうか。(50代男性)

 【A】メタボリック・シンドローム(内臓脂肪症候群)が男性に多いのは、女性は皮下脂肪、男性は内臓脂肪と、男女によって脂肪のつき方が違うからです。理由を説明しようとすると、人類のルーツ、裸でマンモスを追いかけていた時代までさかのぼらねばなりません。とてもスペースがありませんので、とりあえず内臓脂肪の減らし方をご指南しましょう。

 私のクリニックは20年来、肥満外来を設けており、1200人以上の方を成功に導いてきました。その一番大事なコツをご披露します。

 まず、運動はしてはいけません。運動で消費するエネルギーなんてたかが知れています。人間が一日で消費するエネルギーは9割が基礎代謝、つまり呼吸する・心臓が動く・視る・物を考えるなどで消費されます。大げさに言えば寝てても消費します。1時間のウォーキングで消費するカロリーはイチゴ大福1個分。4時間連続縄跳びなんて実際できないですけど、やったとして消費するエネルギーは、きつねうどん1杯分です。

 要するに「やせたければ食べるな。食べたければ、やせようと思うな」ということ。食事の量を減らすにはよく噛むことです。一口32回噛んで飲み込んで、口の中が空っぽになってから次のものを口に入れる。そうすれば自然と食事の量は減ります。あれはダメでこれはイイなんて、食事の「質」を考えてはダメです。とにかく「量」を減らすこと。

 お酒だって飲むなとは言いません。でもビールはやめて下さい。炭酸ガスで胃が大きくなってたくさん入るようになってしまいます。それから果物は一番太る食べ物だということも知っておいて下さい。果物が身体に良いのは、みなさんご存知でしょうが、私に言わせれば「身体に良すぎる」のです。

 運動して、今日はよく頑張ったから、ビールもう1本くらい良いだろうとか、グレープフルーツもう1個とか、自分にご褒美をあげないことです。ちょっと宣伝になりますが、ここに述べたような私独自の減量理論が出版されております。機会がありましたら、ぜひご一読ください。今日はそのサワリだけご紹介しました。

 ◆松本浩彦(まつもと・ひろひこ)芦屋市・松本クリニック院長。内科・外科をはじめ「ホーム・ドクター」家庭の総合医を実践している。同志社大学客員教授、(社)日本臍帯・胎盤プラセンタ学会会長。

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