【松本浩彦医師】痛風は“重大”です…果物とアルコールの摂取制限を

 【Q】夫が病院で「痛風」と言われました。普段の生活にはどんな注意が必要でしょうか?(60代女性)

 【A】高尿酸血症から痛風に…血液中に尿酸という物質が増えすぎると(高尿酸血症)、関節内に結晶を作り、最終的には足の指のつけ根に激しい痛み(痛風発作)を起こします。発作時は鎮痛剤で痛みを押さえますが、根本的には血中の尿酸を減らさねばなりません。高尿酸血症が続けば、腎臓病や心筋梗塞、脳卒中の原因になります。発作が出ていないから大丈夫、と思って薬をサボっていると後で大変なことになります。

 尿酸の元となるのはプリン体という物質で、これはレバーや干し魚などに多く含まれます。ですがプリン体からは尿酸の約2割しか作られません。残り8割はブドウ糖から合成されます。つまり糖分の多い食事が高尿酸血症の一番の原因となるのです。食べ過ぎはもちろん、果物の過剰摂取が尿酸値を上げるいちばんの原因です。

 ビールにはプリン体が多く含まれていて痛風に悪いけど、焼酎にはプリン体が含まれていないので問題ないと言われます。これも大きな間違いです。アルコールは肝臓での尿酸合成を促進し、プリン体の尿中排泄を妨げます。ですから焼酎であろうが「プリン体ゼロ」のビールであろうが、高尿酸血症の人はアルコールを飲んではいけないのです。なので私は痛風の患者さんには、果物とアルコールの摂取制限を強く勧めます。

 適度な運動もカロリー消費という点で大切ですし、十分な水分補給も必要です。適度な運動とバランスの良い食事、また尿をアルカリ性にするため野菜を多く摂取して下さい。「痛風が出たらもう末期的症状」くらい重大に考えても罰はあたりません。

 ◆松本浩彦(まつもと・ひろひこ)兵庫県芦屋市・松本クリニック院長。内科・外科をはじめ「ホーム・ドクター」家庭の総合医を実践している。同志社大学客員教授、(社)日本臍帯・胎盤研究会会長。

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