【野球】DeNA・ドラ4片山 今秋ドラフト最年長指名27歳 母校の桐蔭横浜大・斉藤監督に聞いたプロへの道のり

 プロ野球の各球団で新入団選手の発表会見が行われ、夢の扉を開いた新人たちの初々しい姿が連日話題を呼んでいる。今秋ドラフトでは育成を含む計116選手が指名されたが、最年長でプロ入りを決めたのが、DeNA4位の片山皓心(ひろみ)投手(27)=ホンダ=だ。高校、大学を経て、社会人5年目でようやくつかんだ悲願。オールドルーキーは、なぜ誕生したのか。母校・桐蔭横浜大の恩師、斉藤博久監督(60)に聞いた。

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 12月初旬に行われた新入団発表。恒例の自己PRで、片山はこう呼びかけた。「『ハマのチャンス大城』と呼んでください」。長い下積み生活を経てブレークした遅咲き芸人を自らに例え、「僕も社会人5年間で2年半ほどケガをしていたり、ちょっと重なる部分があると勝手に思っています」と反骨心を口にした。

 高校時代は、茨城の公立進学校・日立一高で控え投手。無名の存在ではあったが、潜在能力の高さを耳にして視察に訪れた斉藤監督は、原石だった当時の姿を振り返る。「真っすぐのキレと体の柔らかさ。制球さえ修正できたらすごい投手になるんじゃないかと素質を感じた」。線が細く粗削りではあったが、無限の伸びしろを確信した。

 大学進学後は課題のコントロールを磨いた。テイクバックが大きくリリースポイントが定まらなかったことから、コンパクトに投げるフォームに修正。少しずつ頭角を現し、プロへの意識が芽生えていく。しかし、最終学年の春、新型コロナウイルス感染拡大でリーグ戦は中止。スカウトに披露する場が失われてしまった。片山を高く評価したホンダに入社が決まったが、プロ入りの夢は持ち越された。

 だが、斉藤監督によると、この期間が現在の片山を育てたという。試合や全体練習ができない中で高校時代に行ったトレーニングを思い出し、原点の下半身強化に取り組んだ。4年秋のリーグ戦再開でグラウンドに現れた片山の身体は、見違えるほどたくましくなっていた。

 その成果もあり、ホンダ入社後は1年目から活躍し、アマトップ左腕として注目を集めた。しかし、ドラフト解禁イヤーの2年目を迎える直前、左肘を疲労骨折。手術を余儀なくされた。夢をつかもうとした矢先の不運。そして1年半後、再び同じ箇所にメスを入れた。それでも片山はめげなかった。斉藤監督が「心は折れないか」と心配すると、「投げること以外は何でもできるので。他の箇所が鍛えられるからプラスに考えています」と逆境を力に変えた。

 今秋ドラフト後、母校のグラウンドを訪れた片山は、後輩たちにこんな言葉を贈ったという。「あきらめの悪い人間になってください。僕は27歳でも、絶対プロに行くんだとあきらめない気持ちでやってきた」。斉藤監督は「彼は、努力ができるという素質を持っているし、困難を乗り越えるすべを知っている」と重ねた年輪を味方にしてほしいとエールを送る。

 球団から渡された背番号は、工藤公康氏も現役時代につけた、左の大投手の代名詞でもある「47」。たくましさを携えた不屈の左腕は、遠回りした分だけ、輝きを放とうとしている。(デイリースポーツ・福岡香奈)

 ◇片山 皓心(かたやま・ひろみ)1998年10月31日生まれ、茨城県出身。27歳。175センチ、84キロ。左投げ左打ち。日立一-桐蔭横浜大-ホンダを経て25年度ドラフト4位でDeNAの指名を受けた。140キロ後半のキレの良い直球と、抜けの良いチェンジアップを軸にした投球で三振を奪える本格派左腕。

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