文字サイズ

【野球】独立L時代は4カ所バイト掛け持ちも…NPBで活躍するため広島・行木は走る

最速153キロは魅力たっぷり。プロ1年目は体力強化に励み、レベルアップを目指す広島・行木
大野練習場のサブグラウンドをダッシュする行木(左は戸田)
2枚

 広島にドラフト5位で入団した新人の行木俊投手(20)=四国ILp・徳島=が肉体強化に励んでいる。春季キャンプ後、2軍のメンバーから外れ、強化選手として一から体を鍛え直す日々を送る。150キロを超える直球が武器。投球の土台をしっかりと築き、1軍で活躍できる投手を目指していく。

 瀬戸内海に面する大野練習場のサブグラウンドを、行木は歯を食いしばって走り続けた。約30メートルのインターバル走は1本ごとにタイムが設定され、時間内で走りきることが求められる。「走るのは好きじゃない。でも今は体作りを頑張らないと」。そう言って噴き出る汗をぬぐった。

 高校卒業後、独立リーグの徳島に入団したが、1年目は右肩の故障で練習生扱い。リハビリの毎日で、公式戦の登板はなかった。2年目の昨年はケガが癒え、トレーニングの成果もあり直球は150キロ以上を計測した。秋のドラフトでカープに指名され、念願のNPB入りを果たした。しかし、体はまだまだ未完成。今季は強化選手に指定された。

 初めて臨んだプロのキャンプで受けた衝撃が原動力になっている。日南での2軍キャンプには大瀬良をはじめ野村、一岡、今村、中崎ら主力選手が調整していた。3連覇を経験したメンバーを見て感じたのは「本当にストイックだった」。早朝から個別に入念なストレッチ。全体練習後も体のケアに多くの時間を割いていた。

 「こういう選手が一流になれるんだ」。一切の妥協をすることなく自らを磨く姿勢。その背中から多くを学んだ約1カ月だった。

 トレーニングが苦しくても自らを追い込めるのは、独立リーグ時代の経験があるからだ。練習生は無給。2年目のシーズン終盤までは給与がなかった。生活費を得るため、最大4カ所でアルバイトを掛け持ちした。光熱費を減らすため部屋の電気を極力つけず、電気料金が月600円台だったこともあった。

 恵まれた環境ではない。右肩の故障もあり、野球をやめようと考えたこともあった。しかし、気持ちをつなぎ止められたのは、両親の支えや居酒屋で働いていたときの関係者の励ましがあったから。

 「頑張れという言葉をもらいました」。困難を乗り越え、広島のユニホームを着ることができた。1軍のマウンドで成長した姿を見せることが、何よりの恩返しになる。

 「早く試合で投げたい気持ちはあります」。それでも今は、その思いを胸にしまい体力強化に励む。地道な日々が大きな投手になる道だと信じて。(デイリースポーツ・市尻達拡)

 ◆行木俊(なみき・しゅん)2001年1月8日生まれ。千葉県山武市出身。投手。右投げ右打ち。身長184センチ、体重77キロ。背番号68。横芝敬愛高では甲子園出場なし。3年夏は4番・エースだったが、右肩の故障もあって本来の力を出せず千葉大会1回戦で敗れた。卒業後は四国ILp・徳島に入団。右肩痛が癒えた2年目に最速153キロを計測し、20年度ドラフト5位で広島に入団した。

関連ニュース

    編集者のオススメ記事

    オピニオンD最新ニュース

    もっとみる

    ランキング

    主要ニュース

    リアルタイムランキング

    写真

    話題の写真ランキング

    注目トピックス