G阿部の一塁転向で見えた原監督の決意

 リーグ3連覇を達成したが、阪神とのCSファイナルSで4連敗を喫し敗退した原巨人。このオフは大胆なコンバートを敢行した。

 長年、チームの正捕手として君臨してきた阿部の一塁への完全コンバート。原監督と阿部が信頼関係のもとで、話し合って決めた“答え”だった。

 だが指揮官としては、重い決断だったことは間違いない。「チームは大変。長くジャイアンツを支えてきた大黒柱がいない。その中で牙城を守る人が出てくるか」。実際のところ、今年、ルーキーながらも1軍で踏ん張った小林が来季の正捕手の最有力候補だろう。FA権の行使を表明したヤクルト・相川の獲得調査を行っているのも、阿部の穴を埋めるためだ。

 苦労することは分かっていてもあえて決断した背景には、やはり来季への決意がこもっている。阿部は今季の開幕前に首痛を訴えるなど故障を抱えており、捕手として全試合に出場するのは難しい。 今季は、131試合の出場で打率・248、19本塁に終わったが本来の姿さえ取り戻せば、そのバッティングは魅力的。ならば一塁に完全にコンバートし、打撃に専念させた方が得策だ。

 特に今季、チームは貧打に泣き阿部、村田の柱も不振にあえいだため、4番に8人も座るという事態となった。負担の大きい正捕手ではなく、正一塁手ならば阿部を4番に固定することも十分、可能になってくる。

 原監督は「新しい阿部慎之助が見られるかもしれない。彼(阿部)が4番に入ることもいいでしょう。誰かが押しのけて(4番に)入ることもいい」と明言。実力で4番の座を奪い取ることに期待しているのだ。

 指揮官は来季、試合の途中でも阿部を捕手として起用しない意向。この方針が、ぶれることはないだろう。扇の要としてチームをけん引してきた男のコンバート。チームにとっては、苦渋の決断だったはずだ。

 指揮官は「(阿部が)ファーストという独立したポジションで戦えるのは、チームにとって大きな転換」と独特の言い回しで説明した。来季に向けた“改革”の第1弾が、阿部の一塁ファーストコンバートだった。

 リーグ優勝しても日本シリーズに出場できないという球団史上でも2度目の屈辱を味わった今年。何が何でも来季こそは、日本一を奪回したい。そのためには「4番・一塁」の阿部の打棒爆発が不可欠。雪辱を期す原巨人の戦いは、すでに始まっている。

(デイリースポーツ・伊藤玄門)

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