桑田真澄氏 巨人・原監督と絆「一番、食事に行ったのは原さん」コーチ就任の裏側語る

 原監督(中央)と並んで伊藤優(手前)の投球を見る桑田投手チーフコーチ補佐
 背番号73のユニホーム姿で笑顔を見せる巨人・桑田投手チーフコーチ補佐
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 巨人・桑田真澄投手チーフコーチ補佐(52)がインタビューに応じ、15年ぶりに古巣に復帰した“経緯”を明かすと同時に、原辰徳監督(62)との深い絆やコーチ像などを熱く語った。また阪神・藤浪晋太郎投手(26)には異例の“エール”を送った。

  ◇  ◇

 -原監督から1月5日にコーチ就任を要請された。

 「『俺たちの仲だからストレートに言うよ』っていう話だったんですよね。僕は『2月に臨時コーチで来てくれ』って言われるのかなって思ってたんですよ」

 -その時の心境は。

 「びっくりしました。うれしかったということと、もう一つは仕事が決まってるのを、どうしたらいいんだろうと。ユニホームを着るってことは、ありえないなって思っていた。契約書を交わしている仕事がいくつもあった。どうしたらいいんだろう、無理だよなっていうのが頭の中を駆け巡った」

 -決断した理由は。

 「原監督の強い思いですね。あとは『仕事は、しながらでもいいから来てくれないか』というお話だった」

 (続けて)

 「原監督は『巨人軍を強くしたいんだ』ということを言われてました。『勝つことも大事だし、巨人軍全体が良くなることに力を貸してくれ』ということでした」

 -原監督は現役時代の同僚。

 「実は僕は(巨人に)入った時から原さんに、すごくかわいがってもらっていた。食事やご自宅にも連れて行ってもらいました。優勝旅行とかでも、一緒にいろんなところに連れて行ってもらった。クルーザーに乗らせてもらったりね」

 (続けて)

 「ピッチャー陣以外で一番、食事に行ったのは原さんだった。僕は一匹狼なんですけど、実は原さんに連れて行ってもらっていた。それだけ気を使ってくれていたんでしょうね」

 -プロのコーチとして指導する際、特に気をつけている点は。

 「プロは縦社会なんですけど、同じプロの仲間って考えると、お互いにリスペクトしあいながら指導していくことが大事だと思う。彼らが何を考えているか、どう感じているかをまず聞きたい。その上で、目標や方法を決めたりしてアドバイスしていきたい。指導者イコール伴走者だと思ってます。共に考え、苦しみ、悲しむ、そして喜ぶ伴走者でありたい。それが僕の基本です」

 -巨人の現役時代は桑田、斎藤、槙原の3本柱が君臨した。指導者として3本柱を形成したい考えは。

 「大きな柱が3本あれば、ピッチングコーチは(のけぞって)ずーっと、こうやっていていいんですよ(笑)。太い柱が3本というと、今1本、菅野がいる。あとは、太い柱ではなくても細くても、どんどん太くしていって太い柱にしたい。あとやっぱり、右左、外国人とバランスよく先発を作っていきたい。先発、中継ぎ、クローザーといる。中継ぎもバランスよくしたい」

 -プロの指導者になる姿は、現役引退後に想像できたか。

 「自分の目標でした。40歳で引退して、10年間は野球の勉強をしたいと。大学院に行ったり、学童、学生野球、社会人、女子野球とか。いろんなところを実際に見て、レベルや組織、どんな人が運営しているのかとか。資金の流れはどうなっているのかを勉強したかった。スポーツビジネスはどうしたらいいのかとかね」

 -10年間の意味合いは。

 「何事も10年やらないと本当の意味での勉強にならないと思う。ずっと今まで巨人、パイレーツとか組織に守られて生きてきた。(例えば)今までは右肘を手術しても、年俸2億なら2億もらえる。仕事がなければ収入ゼロ。本当の人間力というんですかね。無所属でどれだけできるんだっていうのを一回やってみたかった」

 (続けて)

 「一通り勉強してきたので、あとはプロの指導者をやって、日本の野球界全体をさらに発展させていきたいというのが僕の最後の夢。プロ野球、プロ野球ビジネスをもっと発展させる。当然、プロ野球選手の年俸や裏方さんの年俸も上げていきたい。全体の環境を整備していきたい。日本の野球界の後輩たちを育てていきたい」

 -桑田コーチと同じ大阪出身で、高校時代は甲子園のスターだった阪神・藤浪をどう見ているか。

 「僕が教えたいぐらいですよ(笑)。今年、もし彼が復活したら阪神は強いと思いますよ。(阪神は)彼にかかっているんじゃないですかね。彼は阪神だけじゃなくて、僕はセ・リーグ、もしくは日本のプロ野球を背負って立つ男だと思ってます。それぐらいのポテンシャルがある。敵チームなんですけど、彼の復活を願ってます。野球人としても、彼の復活を待ってます」

 -藤浪が復活したら警戒する必要がある。

 「復活したら、警戒もいいところですよ。厳重に警戒していかないといけない」

 -現役時代、伝統の一戦の雰囲気はどうだったのか。

 「甲子園のTGは特別な雰囲気の中の試合ですよね。あの雰囲気とか空間を作り出せるのは他にない。僕は甲子園で育ててもらった。甲子園で高校1年の時に投げてなければ、今の自分はないと思います」

 -伝統の一戦は重圧がかかる。巨人のエースを担った桑田コーチだからこそ、選手に教えることもできる。

 「その克服法とか、練習でどうやって克服していったらいいかとかですね。(6日に)戸郷に言った『いいボールを3球続けられるの?』というのは、その一端。2球目までいくけど、3球目はいかない。『どうして3球目はいかないんだろうな』と。そうやって小さなプレッシャーに勝つ練習をしていくと、ああいう(甲子園の阪神戦の)大きなプレッシャーに勝っていける。プレッシャーに勝っていってもらいたい」

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