赤ローソンが熱いワケ…CS初進出効果

 赤ローソンことローソン広島東荒神町店
2枚

 「ローソン」といえば、誰もがあの水色の看板を思い浮かべるだろう。だが、国内と海外を合わせ、1万1578店舗(2月末現在)の中に、2店舗だけ「赤いローソン」が存在するのをご存じだろうか。

 それは広島東洋カープのお膝元、マツダスタジアムの近辺にある。球場に隣接する「南蟹屋二丁目店」と、JR広島駅からスタジアムへ向かう線路沿いの道「カープロード」の途中にある「広島東荒神町店」だ。いずれもマツダスタジアムの開場から1年後の2010年にオープンし、同年7月にカープのチームカラーである赤色に染められた。この2店が、カープのCS進出を受けて客足を伸ばしているという。

 常に市民球団として愛されてきたカープの存在を象徴するかのような、この「赤ローソン」。(株)ローソン(本社・東京都品川区)広報担当の竹元裕貴氏によると、「赤ローソン」の誕生は、地域密着を重視し、とりわけ球場近くの店舗では特色を出したいと考えた本社の指示によるものだという。球団とのコラボレーションでグッズなどを販売する店舗はあっても、店の色まで変えてしまったのは、12球団の本拠地でも広島だけだ。実際、店内には通常の商品の他、メガホンやユニホームなどカープの応援グッズがズラリと並び、見事な「赤」ぶり。グッズはいずれも入店してすぐ目に付く、入り口付近の“特等席”で存在感を放っている。

 取材当日も店内はごった返していた。買い物を終え、カープ応援グッズでいっぱいになったビニール袋を片手に出てきた30代の男性客に話を聞いてみた。「CS2戦目のチケットが取れたんで、応援に行きます。うまくいけば、その日で決まるかも」と決戦の地、甲子園に乗り込むのだという。また、カップルは「赤ローソン」をバックに記念撮影をしていた。東京から旅行で来たという20代男性は「テレビで見て赤ローソンの存在を知った。全国でもここしかないので、広島に来たら外せない場所です」と、ちょっとした観光スポットになっていた。

 広島カープは1975年の初優勝以降、リーグ優勝争いの常連とも言うべき強豪球団となったが、91年の優勝後は低迷が続き、97年を最後にAクラスからも見放されてきた。だが今季はエース・前田健太投手の活躍に加え、野村祐輔投手、菊池涼介内野手ら期待の若手、さらにバリントン投手、キラ内野手など外国人選手も力を発揮。大混戦のCS争いを終盤に一気に抜け出し、16年ぶりのAクラス、そしてチーム史上初のCS進出を決めた。そして、この盛り上がりが赤ローソンの活況につながった。

 オープンから4年、すでに地元での認知度は高く、試合前には多くの広島ファンが列をなし、店内に入り切らないほど。自身も広島出身だという竹元氏も「終盤戦でも、試合の日はたくさんのお客様にご来店頂いて、おかげさまで大変な盛り上がりでした」と、自然と声が弾んだ。なお、今後盛り上がりが広がった場合でも、「赤ローソン」はこの2店舗限定で店舗を増やす予定はないという。この2店舗は全国の広島ファンの “聖地”となりそうだ。

 両店舗とも球場にほど近いため、試合前にカープの選手が利用することもしばしば。実際、記者も昨年、「南蟹屋二丁目店」で、前田健太投手とバッタリ出くわしたことがあった。運が良ければ買い物中の選手たちに会えるかもしれない。

(デイリースポーツ・福島大輔)

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