【ボート】変わる尼崎ボートと兵庫支部
「レース記者コラム 仕事・賭け事・独り言」
尼崎ボートは改修工事のため、12月まで開催はなし。ピットや艇庫も新たな施設となって生まれ変わる。既に選手宿舎や屋外ステージも新設されているが、本丸にも手が入り、選手もさることながら取材するこちらも楽しみで仕方がない。
さて、工事前の最後のレースとなった「尼崎市議会議長杯」(8月16~19日)でのこと。結果から言えば地元から出場していた和田拓也(35)=兵庫・113期・A1=が予選首位から優勝戦も逃げ切って優勝を果たした。
「腹くくって行きます」-。優勝戦1号艇を決めた直後、和田はそう行った。名うてのイン屋、西島義則(63)=広島・49期・A1=が4枠から前付けに動き、深い起こしが予想され、和田はF(フライング)1本持ちではいたが、インを死守し、レースを主導することをその言葉で表現した。
優勝戦当日はペラを出足型に叩き、深くなる100メートル起こしでも耐えられるように舟足を整え、何度も水面に出て、感触を確かめるとともに、風向きを計算してS(スタート)地点を修正。結果はトップSで圧力をかけた西島のコンマ13に負けないコンマ14の快Sを決めての逃げ切り勝ち。レース本番ではS位置を修正するため、アクセルを少し握って前にボートを進める姿が印象に残った。
兵庫支部では長きにわたり、吉川元浩と、引退した魚谷智之さんがツートップとして頂点に君臨してきた。8月に行われたオール兵庫戦も吉川の優勝で幕を閉じたが、優勝インタビューでは「もう譲ってもいい」と後輩たちにゲキを飛ばした。
改修工事終了の12月からは地元選手もホームに戻ってくる。新装最初のシリーズは2日からの「UHA味覚糖杯」となるが、ここも兵庫支部に期待せずにいられない。8月の大村では9月のヤングダービー出場を決めている山下大輝がデビュー初優勝を飾ったばかり。同じヤングダービーに出場する登玉隼百、宮田龍馬に、もちろん和田と20、30代の台頭も著しい。新しくなった施設とともにさらなる飛躍、活躍を楽しみにしている。(尼崎ボート担当・中村博格)




