【ボート】ファンの困惑に直結する“優出キャンセル界隈”を生みかねないルールは改正を!

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 X年10月30日のAボート場では準優勝戦が行われる。予選を全勝で首位通過したA選手は、準優前の前半レースも6コースから楽々と快勝。舟足は節イチ、S勘もバッチリで、1号艇で迎える準優も楽勝ムードが漂う。ただしこのA選手、級別選考の期間出走回数が、この準優が88走目となる。さて皆さんは、このA選手を信頼して舟券勝負、できますか?

 ボートレーサーのA1、B2などといった級別は選考期間(5月1日~10月31日と、11月1日~翌年4月30日)の勝率および事故率、そして出走回数で決められる。5月からA2とB1は出走回数の規定が厳しくなった。A1は90走で据え置きだが、A2は70走から80走、B1は50走から65走と大幅に増えた。

 ここ数年、一般戦を中心に途中帰郷選手が続出する傾向にあり、それを防止するための措置とのこと。それはいい。だがより多くの出走回数を求めるとなると、開催最終日に困った事象が起こるのだ。

 優出した選手は最終日は優勝戦1走が原則。一方、準優敗退組は最終日には特別選抜戦と、前半の一般戦で計2レース出走することができる。これはSGだろうがノングレードの一般開催であろうが同じ。冒頭のA選手のケースは極端だが、順当に優出すると出走回数は89走で翌年1月1日からの級別はA2。逆に準優で敗退なら90走をクリアでき、来期はA1となる。

 目先の優出と級別の価値でいえば、圧倒的に級別が上。最終日の2走を求めて準優敗退を目指す“優出キャンセル界隈”が生じても、今のルールでは防ぎようがない。冒頭のA選手はちゃんと勝ちに行くのか、ルールを知るファンなら疑念を抱いて当然だ。

 この問題の解決策は至って簡単。選考基準を「出走回数+優出回数」にすればいい。これなら、優出選手は最終日に「優勝戦出走と優出」で2走したことと同じになる。たとえばA1なら合計で95、A2なら83、B1なら65のまま。この辺りは平均や中央値を取るなどして、適切な数値を当てはめてもらえばいい。

 5月からの新ルールでは同時に、優勝戦でのフライングの罰則も厳しくなった。出走回数の規定と合わせ「優勝戦なんか乗るだけ損」と考える選手が増える契機にもなりかねない。そうすると、準優で舟券勝負がしづらくなる。選手への規制を強化すること自体に異論を挟むつもりはないが、舟券勝負するファンにも目を向けてもらいたい。(関東ボート・競輪担当・浅野将之)

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