【ジャパンC】ヴェラアズール 国内外の強豪撃破 ムーア馬群こじ開け末脚一閃

 「ジャパンC・G1」(27日、東京)

 ゴール前の激しい攻防を制したのは3番人気のヴェラアズール。ここがG1初挑戦となった上がり馬が、自慢の末脚で一気に頂点まで駆け上がった。これにより日本馬は06年ディープインパクトから17連勝となった。2着は1番人気のシャフリヤール、3着に4番人気のヴェルトライゼンデが続き、4頭参戦した外国馬はグランドグローリーの6着が最高だった。なお、シャフリヤールに騎乗したC・デムーロ騎手(30)=イタリア=は、直線の斜行により騎乗停止処分を受けた。

 破竹の勢いとはまさにこのことか。今年3月に芝に転じて一気に素質を開花させたヴェラアズールが、G1初挑戦となった世界の大舞台で大仕事を完遂させた。

 “勝利”の2文字を巡る最高峰の戦いを象徴するかのように、直線は厳しく、そして激しい攻防となった。ムーアとの呼吸を合わせ中団で脚をためると、抜群の手応えを残したまま最後の直線へ。しかし、馬群が密集して脚を伸ばすスペースがない。それでも残り200メートル過ぎから、わずかな進路を頼りに進出。ラストは極限の末脚を引き出し、前を走るダノンベルーガとヴェルトライゼンデの間を一気に突き抜けた。

 13年ジェンティルドンナ以来、2度目の制覇となった鞍上は「馬がトラブルを避けてくれた。馬のおかげ。前があいた時はホッとしたし、勝てたと実感した。とにかく馬が優秀だった」。まさに人馬一体-。パートナーと勝ち切った喜びを言葉にした。コロナ禍により、2年間来日できなかったこともあり、「日本は自分にとって特別な国。今回はヴェラアズールに乗れて幸運だった。うれしいね」と静かにほほ笑んだ。

 昨年のジャパンC当日は、阪神ダートの2勝クラス(6着)を走っていた馬。骨折や骨溜などでデビューが遅れ、馬体も600キロ近くあったため、芝向きと判断していた陣営も、脚元への負担を考慮してダートから出発させた。なかなかタイミングがなく、5歳を迎えてようやく芝に使うと、あれよあれよの戴冠劇。渡辺師は「一戦一戦強くなっています。でも、勝てるとは夢にも思いませんでした」と相好を崩した。

 開業7年目でのG1初制覇に「直線?覚えていなくて…気がついたら立ち上がって興奮していました」と恥ずかしそうにした指揮官。騎手時代、ナリタトップロードのダービー首差2着で涙した同じ東京芝2400メートルでの栄冠。ただ、「騎手と調教師は全く違いますからね。意識はしていなかったです。すいません」と涙はなかった。

 今後については全くの白紙だが、ムーアは「ジャパンCを勝ったことで、さらに強くなると思う」と太鼓判を押す。馬名の由来はスペイン語で“青い帆”。遅れてきた大物が、晩秋のまばゆい西日の中で、明るい未来へ高らかに帆を広げた。

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