四位、万感の騎手生活30年「ダービーを2つも勝たせていただいた、これ以上ない」

 春は別れ、そして旅立ちの季節だ。四位洋文騎手(47)=栗東・フリー=が、29日の阪神を最後にステッキを置く。騎手生活30年。これまでの、そしてこれからの思いを胸にラストライドへと挑む。

 華のある名手がステッキを置く。JRA通算1585勝を挙げる四位が、29日の阪神でラスト騎乗を迎える。騎手生活は30年を数え、競馬学校7期生最後の一人になるまで現役を続けた。「騎手を小さい時から夢見て、夢だったダービーを2つも勝たせていただいた。これ以上ないです」。“悔いはない”といった表情でうなずく。

 ダービー連覇などJRA・G1は15勝、重賞は76勝を数える。「生き物なので、馬のことを大切にしてあげたいと思ってやってきた」。当たりが柔らかく、きれいなフォームで折り合いをつける姿は後輩たちの憧れだった。「拳の柔らかさは持って生まれたものだから、そういう意味では恵まれた。両親に感謝しなきゃ」と笑った。

 最終レース終了後には、予定通り引退式が行われる。そこにファンの姿はないが、JRAから打診された式の延期は断ったという。「自分としての区切りが土曜。ある意味、思い出になるよ。若い頃からいろんな話をさせてもらったノリさん(横山典)も阪神で乗る。感慨深いものがあるね」。当日は映像を通じてファンへメッセージを伝えるという。

 ラストライドを終えるとともに、調教師としての競馬人生が始まる。「調整ルームに入らなくなると引退したんだなと思うだろうけど。いろんなものを感じながら乗ってくるよ」。30年の思いを込めて、最後までファンを魅了する。

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