【オークス】クイーン無念晴らしV

 「オークス・G1」(24日、東京)

 桜花賞で抽選除外のうっぷんを晴らした。3番人気ミッキークイーンが父ディープインパクト譲りの鋭脚を発揮して優勝。忘れな草賞Vで賞金を加算して臨んだ樫の舞台で戴冠を果たした。

 ニューヒロインの誕生だ。3頭の意地がぶつかり合った最後の直線。火花散る猛烈なたたき合いを制して、ミッキークイーンが樫の女王に輝いた。「この馬の実力を証明できてうれしい」。澄み渡る青空の下、殊勲の浜中が晴れ晴れとした表情を見せた。

 3頭による抽選で、この馬だけ除外となった桜花賞の無念を晴らすべく、必勝を期して臨んだ。道中はスムーズに中団の外めを追走。直線でルージュバック、そしてクルミナルが抜け出すと、両馬に外から猛然と襲いかかる。こん身のステッキを飛ばし、最後はライバル2頭をきっちりかわした。「この馬の方が切れるという自信があった。桜花賞に出られなかったのは(賞金を十分に加算できなかった)自分にも責任があると思っていたので良かったです」。ウイニングランでは両手を天に掲げ、スタンドにゴーグルを投げ込んで喜びをアピールした。

 池江師も破顔一笑だ。オルフェーヴルやドリームジャーニーなど、数々の名馬を送り出してきた池江厩舎だが、牝馬クラシックVは今回が初めて。08年チューリップ賞(エアパスカル)以来の牝馬重賞制覇に「ジンクスが解けた(笑い)。これからは牝馬も勝つよ」と指揮官は高らかに宣言した。

 戦前、「この馬でG1を獲れればいいですね」と話していた担当の斎藤勲助手にとっても格別の美酒に違いない。同助手の父は、松田国厩舎でG1・4勝馬ダイワスカーレットや04年オークス馬ダイワエルシエーロなどの名牝を手がけた正敏元厩務員。池江師は「それを知っていたから、息子である彼がウチに入るとき、牝馬を担当してもらうことに。馬への当たりが柔らかいし、今回もうまく仕上げてくれた」と目を細める。輸送前に体重を20キロも減らしたクイーンCの反省を踏まえ、中間は馬体維持を念頭に調整。当日馬体重430キロ(前走比プラス4キロ)が示す通り、万全の態勢で大一番に臨むことができた。

 今後は休養を挟み、秋の秋華賞(10月18日・京都)を最大目標に掲げる。「距離は大丈夫だし、コーナー4つ、右回りも走れるので」とトレーナーは自信満々。父ディープインパクト譲りの末脚に磨きをかけ、意気揚々と2冠奪取に向かう。

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