【ア共和国杯】ウチパク負傷から復帰

 「アルゼンチン共和国杯・G2」(9日、東京)

 関東の誇る剛腕がターフに戻ってくる。8月31日に落馬負傷し、戦列を離れていた内田博幸騎手(44)=美浦・フリー=が、今週の東京競馬で復帰を果たす。京王杯2歳Sのコウソクコーナー、アルゼンチン共和国杯のスーパームーンと、土日メーンの重賞には早速有力馬がスタンバイ。いきなりタイトル奪取のシーンも十分に期待できそうだ。

 自慢の剛腕で他馬をねじ伏せ、時には大胆な策略で勝負強さを発揮。ひとたび馬を下りれば優しいまなざしで関係者と談笑する。「先週から調教に乗り始めたけど、全く問題はないね」。ファンを魅了する内田博が全快宣言とともに戻ってきた。

 馬群から完全に抜け出し、勝利目前と思われた8月31日の新潟9R直線での出来事だった。騎乗馬アドマイヤディープの突然の故障により地面にたたきつけられるように落馬。左手尺骨遠位骨折で戦線離脱を余儀なくされた。「(2週前の)菊花賞ウイークでの復帰を考えていたけど、骨のくっつきが完璧ではなかった。不安を持って乗るのは馬を仕上げてくれた人に申し訳ない」と辛抱強く我慢。「以前の落馬(11年5月に頸椎歯突起骨折で8カ月休養)とは箇所が違う。特別なことはしていないけど、体はつくってきた」と万全の態勢を強調する。

 JRA・G1通算11勝の名手には、復帰と同時にラブコールが殺到。今週は東京で土日とも重賞に騎乗する。京王杯2歳Sのコウソクコーナーは「前向きだからリラックスできるか」と分析し、アルゼンチン共和国杯のスーパームーンは「最後の爆発力を出せるように心掛けたい」とイメージを膨らませた。

 来週のエリザベス女王杯はヴィルシーナで参戦。くしくも落馬時に騎乗していた友道厩舎の所属馬でG1復帰を果たす。「こうやっていろいろな人から依頼を受けるのは、ありがたいというしかない。嫌われるのは簡単でも、信用を得るのは難しいことだから」。情も騎乗ぶりも“熱い”44歳が、佳境を迎えた秋競馬をさらに盛り上げていく。

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