【JCダート】アワーズ砂王獲りにいく

 「ジャパンCダート・G1」(12月2日、阪神)

 本格化した5歳馬がダート王の座を狙う。G1初制覇へ向けて、ニホンピロアワーズが好気配だ。連対率71・4%と崩れない走りがセールスポイントだが、持ち前の安定感に加えて、最近はレースの内容に“すごみ”が増している。コンビを組むのは先週の京阪杯で重賞タイトルを獲得し、波に乗る酒井。絶好調男のエスコートで大仕事をやってのけるか。

 もう伏兵とは呼ばせない。メンバー随一の堅実派ニホンピロアワーズが、開幕週の仁川で主役の座を奪い取る。「いいメンバーがそろったけど、勝負できるだけの力を備えている」と語る主戦の酒井は先週の京阪杯をハクサンムーンで制すなど絶好調だ。「先週勝てたからといって、自分の意識は普段と変わらないが、今回も馬の持つ力を100%出し切れるように頑張るだけですね」と意気込みをのぞかせた。

 これまで21戦して15連対(連対率71・4%)。20戦で掲示板を確保する安定感は馬券の軸としてもうってつけだろう。近走は崩れない走りに“すごみ”が追加された。交流G3の白山大賞典を4馬身差で圧勝すると、みやこSではローマンレジェンドの首差2着。単勝1・4倍を背負った勝ち馬を脅かした。「以前は勝負どころでもたつく面があったが、ハミをかんで回ってくるようになったし、直線でフワッとなる距離も短くなった」と成長ぶりに目を細める。

 決戦を見据え、調整にも余念がない。追い切り前日の火曜は栗東Bをキャンター。力強いフットワークで好調をアピールした。「最近のダート馬には細いのが多い気がするけど、この馬はムキムキ。昔ながらのダート馬という感じ」と語るのは担当の小形厩務員。どんなレースでもソツなく好位に取りついて、しっかり力を出してきた。「トモの張り具合とか、首筋から肩先、胸の筋肉がすごい。ほかの馬と比べても、パワーが違い過ぎるから世話をする際、こっちもかなりの力が必要になるんだけど」。大きな波のない戦績は傑出したパワーに裏打ちされたものと言ってもいい。

 キャリアのなかで掲示板を唯一外したのが、昨年のこの舞台(9着)。陣営が雪辱に燃えるのは当然だ。「去年はチャレンジャーという立場だったが、今年は強気に獲りにいくという気持ちで。緊張もあるが、楽しみという気持ちが大きい」と酒井は武者震い。充実期を迎えた5歳馬が、砂の頂上決戦で存在感を示すときがきた。

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