栗塚旭さん死去 300坪を超える大邸宅 気さくなスターが見せた反骨心
司馬遼太郎さん原作の時代劇ドラマ「新選組血風録」(1965年)で新選組副長の土方歳三役を演じ、一世を風靡(ふうび)した俳優の栗塚旭(くりづか・あさひ)さんが、11日までに京都市内の自宅で死去していたことが12日、関係者への取材で分かった。88歳。北海道出身。レギュラー出演していた時代劇専門チャンネルのドラマ「三屋清左衛門残日録」シリーズの最新作への出演が決まっていたが、撮影直前の訃報となった。
土方歳三没後150年の2019年に、当時82歳だった栗塚旭さんを取材した。京都のホテルのロビーで待ち合わせると、はつらつとした雰囲気で現れた。
スターのオーラをまといながらも、いたって気さく。60代くらいの女性から「土方の…栗塚さんですか」と声を掛けられると、気軽に記念撮影にも応じていた。「今でも『土方』とレッテルを貼られるけど、代表作だからこそ。ありがたいですよ」と感謝していた。
生涯独身を貫いたが、その理由も「独身だった土方に殉じて。まあ、忙しすぎて結婚できなかっただけなんだけど」と話し、ちゃめっ気たっぷりに笑っていた。
自宅は2018年に台風で半壊するまで、京都の東側にある哲学の道近くに構えられ、300坪を超える大邸宅だった。これは御所を挟んだ西側、嵐山の大河内伝次郎別荘「大河内山荘」への対抗意識からだった。「当時、京都の東に住んでいる役者はいなかったから、自分が建ててやろう」という反骨心を見せていたのも印象的だった。(デイリースポーツ・石川美佳)
