栗塚旭さん逝く 88歳「新選組血風録」「燃えよ剣」土方歳三役で一世風靡 ドラマ最新作撮影直前に

 司馬遼太郎さん原作の時代劇ドラマ「新選組血風録」(1965年)で新選組副長の土方歳三役を演じ、一世を風靡(ふうび)した俳優の栗塚旭(くりづか・あさひ)さんが、11日までに京都市内の自宅で死去していたことが12日、関係者への取材で分かった。88歳。北海道出身。レギュラー出演していた時代劇専門チャンネルのドラマ「三屋清左衛門残日録」シリーズの最新作への出演が決まっていたが、撮影直前の訃報となった。

 栗塚さんは京都・北白川のビルで独り暮らしをしていた。関係者によると、最近の体調に大きな変化は見られなかったといい、突然の死だった。

 1937年生まれ。幼少期に父を、中学3年生で母を亡くし、京都で働く兄を頼り北海道から移住した。2019年、本紙に語った「小さな頃から映画が大好きだったので、“日本のハリウッド”と呼ばれた京都に住めることがうれしかった」という映画への思いで悲しみを乗り越えた。

 高校卒業後は劇団くるみ座に入り主宰の毛利菊枝の付き人に。「太秦の撮影所に行くのが何よりも楽しみだった」という。64年、東映京都テレビプロの第1作「忍びの者」の明智光秀役に抜てきされ、注目を浴びた。

 翌65年に「新選組血風録」の土方役でスターダムに駆け上がった。ニヒルな雰囲気がはまって当たり役となり、66年の映画版「燃えよ剣」、70年のドラマ版「燃えよ剣」、73年のドラマ「新選組」でも土方役を演じた。「当時は京都と東京を往復する飛行機と新幹線の中だけが睡眠時間。何年も布団の中で寝れなかった」と多忙を極めた。

 小さな頃から体が弱く、運動は未経験だった。「運動神経もよくないし、剣道もやっていないから木訥(ぼくとつ)なぎこちない殺陣。それがテレビでは真実味があるように見えたのかもしれない」と分析していた。

 「われら九人の戦鬼」、「俺は用心棒」、「暴れん坊将軍」など多くの時代劇に出演。04年のNHK大河ドラマ「新選組!」では土方の盲目の兄・為次郎役で圧倒的な存在感を示した。

 哲学の道に構えた自宅の一角で兄嫁が切り盛りする喫茶「若王子」を営み、ファンの憩い場所としていたが、兄嫁が他界して閉店。18年の台風で自宅が半壊し、北白川のビルに引っ越した。「まさかこの年で、天災で引っ越すことになるとは」と苦笑しつつ、ファンと交流する記念館の開設を目指していた。

 若さの秘けつは「映画館で、毎日1本映画を見ること」だと話していた栗塚さん。生涯現役を貫き、天に昇った。

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