宝塚 星組・稀惺かずとが新人公演主演 ラスト舞台・礼真琴の役柄を堂々と描く「厳しさと尊さを学ばせていただいた」
宝塚歌劇星組「阿修羅城の瞳」の新人公演が15日、兵庫・宝塚大劇場で行われた。初舞台から7年目の稀惺かずと(きしょう・かずと)が2度目の新人公演主演を務め、同組次期トップ娘役に決定している同期の詩ちづる(うた・ちづる)とともに真ん中でスポットライトを浴びた。
本公演は、8月に退団する同組トップスター・礼真琴のラスト舞台。稀惺は、礼主演の23年『1789 -バスティーユの恋人たち-』(礼は体調不良で途中休演)でも新公主演を務めていた。
江戸時代を舞台に稀惺が演じたのは“鬼殺し”の異名を持つ剣士・病葉出門(わくらばいずも)。躍動感あふれる戦闘シーンや仲間とのコミカルなやりとり、そしてヒロインを演じた詩との壮絶な恋物語を、スケールの大きさを感じさせる芝居力で描いた。また和装もよく似合い、華やかで端正な容姿で客席を魅了した。
フィナーレで稀惺は言葉を詰まらせながら「尊敬してやまない礼さんのご卒業公演という大切な作品で、メンバー全員が礼さんの背中を、そして尊敬する上級生の方々のまなざしや舞台に対する姿勢を目に焼き付けさせていただき、舞台と向き合うことの厳しさと尊さを学ばせていただく日々でした」と振り返った。
続けて、自身が演じた出門の「運命(さだめ)に真っ正面からぶつかっていく姿に救われていました」と語るも、「皆さまからの温かいお言葉に本当に応えられているのか。自分に託していただいた運命を全うできているのか、何度も頭をよぎりました」と不安を口に。しかし「やらないわけにはできない。自分たちの限界まで突っ走っていきたいと思います」と、東京宝塚劇場での公演(7月10日)への決意を述べると、客席からは大きな拍手が送られていた。
