フジ・メディアHD売上高 予想から501億円減 フジテレビ広告収入は従来予想から233億円減の見通し
フジ・メディア・ホールディングス(HD)は30日、2025年3月期連結決算の業績予想を下方修正し、純利益を従来の290億円から98億円に引き下げた。元タレント・中居正広氏と女性トラブルを巡るフジテレビの問題を受け、テレビCMが軒並み差し替えられたことが理由。同日、フジ・メディアHDとフジテレビは取締役会を開催し、経営刷新小委員会や社内プロジェクトチームの設置などについて決議した。取締役会後、フジテレビの清水賢治社長が取材に応じた。
一連の報道による影響が数字で示された。フジ・メディアHDの売上高は従来予想から501億円減の5482億円、純利益は192億円減の98億円と開示した。フジテレビの広告収入は従来予想から233億円減少するとの見通しも示した。
同局を巡っては、中居氏の女性トラブルを発端としてCMのACジャパン差し替えが続出。20日時点で75社に上り、スポンサー離れが深刻化していた。同局はCMの料金を請求せず、契約分についてのキャンセルも認めている。清水氏は「放送収入がこれだけ減るのは極めて深刻に受け止めている」と語った。
視聴者やスポンサーの信頼回復と透明性のある経営を目指し、取締役会は4時間45分にわたって議論が続いた。第三者委の調査に応じた者の保護、社外取締役会がメンバーとする「経営刷新小委員会」の設置、社内の次世代を担う若手で構成される「再生」のためのプロジェクトチームの発足が決議された。
清水氏は「今のフジテレビは信頼が落ちている状況」として「今何ができるかというと(3月末めどの)第三者委員会の調査結果という物はわれわれが左右できませんので、それまでの間でわれわれは何をしていくのか。今すぐできることは一つずつやっていかなければならない」と、再生への思いを語った。
取締役会では、週刊文春の訂正についても意見が交わされた。文春は第一報で女性が同局社員から誘われたとしていたが、港浩一前社長ら経営陣が27日に2度目の記者会見を開いた後に訂正の説明、謝罪が続いた。
清水社長は「なぜあのタイミングで出したのかなということが一番疑問」と指摘し、第三者委の調査次第での文春への訴訟について「あらゆる選択肢が検討にあります。(第三者委員会の)調査と並行して動いているので、しっかりと冷静に検討して対応していくべき」と語った。
40年近く同局の実権を握っているとされる日枝久取締役相談役を巡っては、社内外から会見出席や進退を問う厳しい声が上がっている。この日の取締役会には日枝氏も出席したが、進退についての議論や辞任の申し出はなかったという。
