鳥山明さん急逝 「Dr.スランプ」「ドラゴンボール」世界に衝撃、漫画界の巨匠 68歳、急性硬膜下血腫

 「Dr.スランプ」や「ドラゴンボール」などのヒット作で知られる漫画家の鳥山明(とりやま・あきら)さんが1日、急性硬膜下血腫のため死去した。集英社が8日に発表した。68歳。愛知県出身。葬儀は近親者のみで行われ、お別れの会の開催などは未定だという。日本漫画界の先頭を走り続けてきた鳥山さんの早すぎる旅立ちに、各界に悲しみが広がった。

 世界中で愛される作品を生み出した巨匠が天国へ旅立った。

 鳥山さんのプロダクションであるバードスタジオは訃報を発表し「熱心に取り掛かっていた仕事もたくさんあり、まだまだ成し遂げたいこともあったはずで、残念でなりません」と悼んだ。

 「少年ジャンプ」への投稿をへて、1978年にデビュー。80年に連載を開始した「Dr.スランプ」が大ブームとなり、主人公・則巻アラレの「んちゃ!」、「キーン」などの「アラレ語」が大流行した。

 84年には最大のヒット作「ドラゴンボール」がスタート。累計発行部数は2億6000万部を超え、孫悟空、ベジータ、フリーザといった人気キャラを数多く生み出した。アニメは11年の長きにわたって放送され、高視聴率を記録。映画、ゲームと様々なメディアで展開され現在も世界的な人気を獲得し続けている。

 漫画家になるきっかけはお金だった。地元・愛知の広告代理店を退職した鳥山さんは、たまたま見つけた「少年マガジン」の新人賞募集の「賞金50万円」にひかれ漫画制作を決意。それまで漫画を描いたことはほとんどなかったが、生活費のために描き続けた。その後締め切りの関係で、新人賞募集が毎月行われていた少年ジャンプへの作品の投稿を開始した。

 人気ゲーム「ドラゴンクエスト」ではキャラクターデザインを担当。魅力的なモンスターを作り上げ、特にスライムといえば、ゲル状ではなく「水滴型で水色」という現在のイメージを定着させた。車やバイク、ロボットやメカを好んで描き繊細で細部まで書き込まれた作品のファンも多い。

 一方で、面倒くさがりな一面も。黒い髪を塗る作業を省くために「ドラゴンボール」に登場する「スーパーサイヤ人」を金髪にしたという。アラレちゃんのトレードマークの大きな眼鏡も「眼鏡を描くのって結構面倒くさいですから、そのうち取ろうと思っていたんです」と明かしていた。

 メディアへの露出は少なかったが、有名になりすぎて「愛知県の自宅から空港まで直通の道路がつくられた」や「集英社から専用の島をプレゼントされた」などの都市伝説も生まれた。だが決して偉ぶることはなかったという。スーパーマーケットを巡るのが好きだという庶民的な一面も。親交の深かった漫画家の桂正和氏は「面白い人だった。すけべで、可愛くて、毒舌で、謙虚で」と素朴な人柄を語った。

 95年の「ドラゴン-」終了から、長期連載はしていなかったが、情熱は衰えず。今秋、世界展開される予定の新作アニメシリーズ「ドラゴンボールDAIMA」ではタイトルを考案し、基本ストーリーや設定、キャラクターなどデザインの多くを手がけ「いつもよりかなり気合が入っているかもしれません!」と、コメントしていた。

 鳥山さんが創りだした唯一無二の作品たちは、世代も、国境も越え、世界中の人々の胸の中で生き続ける。

 ◇鳥山さんの主な受賞

 1981年度 第27回小学館漫画賞(「Dr.スランプ」)

 2000年度 第4回文化庁メディア芸術祭デジタルアート・インタラクティブ部門大賞(ゲーム「ドラゴンクエストⅦ エデンの戦士たち」)

 06年 日本のメディア芸術100選マンガ部門3位(「ドラゴンボール」)

 ◇急性硬膜下血腫 脳の表面(くも膜)と硬膜との間に溜まった血腫。高齢者にみられることが多い。主に頭部外傷が原因で、受傷直後から意識障害が現れ、その他にも激しい頭痛や吐き気、けいれん、めまい、麻痺、感覚障害などの症状が見られる。脳自体の損傷がない場合は初期は意識障害がみられず、徐々に障害が出現してくることがある。手術は開頭による血腫除去術が一般的で、手術を行った場合でも死亡率は40~60%と高く、一命を取り留めた場合でも、重篤な神経後遺症を残すことが多い。

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