渡哲也さん死去…石原軍団 悲しみ押し殺し静かに送った 舘ひろし、神田正輝ら談話出さず
俳優の渡哲也=本名・渡瀬道彦=さんが、10日午後6時30分に肺炎のため都内の病院で亡くなっていたことが14日、分かった。78歳だった。葬儀・告別式は故人の強い希望により、14日に家族葬として渡夫人が喪主を務め、営まれた。法名・萬修院泰然自道居士。お別れの会、偲ぶ会等については故人の意向により実施しない。石原プロモーションは7月に、来年1月16日をもって解散することを発表したばかり。事務所が58年の歴史に幕を下ろす直前に、敬愛する石原裕次郎さんのもとへ旅立った。
石原軍団は、悲しみを押し殺した。渡さんの遺志に沿い、あくまで「静かに送りたい」との信念から、舘ひろし(70)、神田正輝(69)ら後輩たちは、あえて談話を出すことはなかった。故人へのあふれる敬意と、結束の強さゆえの計らいだった。
特に舘にとって、渡さんは恩人だった。「西部警察」シリーズでの共演を機に絆を深めた舘は83年、自ら志願して石原プロに入社。渡さんを公私ともに慕い、自身もその背中を追い続けて看板俳優として成長した。常々、「俳優として何とかやっていけているのは、渡のおかげ。石原裕次郎さんや小林専務もいらっしゃいましたが、原点は渡さんがいたから。たぶん、それがブレたら自分が自分でなくなるという気がする」と“親方”への恩を口にしていた舘。軍団解散後についてのスタンスについて問われた際も、「私個人としては、石原プロにお世話になったときは、渡に全てを預けてお世話になったわけですから、渡次第だと思います。渡がどうするか、ゆっくり話し合っていきたい」と話すなど恩師を立てていた。
渡さんは夫人や長男ら親族による家族葬で旅立ち、関係者によると、舘や神田ら石原プロの所属俳優たちは、最期の対面はしていないという。しかし、師匠の人柄を知り尽くしているからこそ、「静かに送ってほしい」という遺志を守り抜くことが、石原軍団としての矜持だった。