吉田照美“東大ニセ胴上げ”を振り返る「何かやる時には上には伝えない」
フリーアナ、ラジオパーソナリティの吉田照美が16日、都内の文化放送で行われた同局の定例社長会見にゲストとして出席し、自身が1978年から80年にかけて出演していた「セイ!ヤング」で伝説的な出来事となった「東大ニセ胴上げ」について振り返った。
「東大ニセ胴上げ」とは、吉田が東大の合格発表の現場で、本当に東大に合格した人のように胴上げをされる、という企画で、他のメディアの報道でも胴上げされる吉田の姿が映り込んだ。そんなことをして怒られなかったのか-。この質問に吉田は「あれ、怒られないんですよ。意外とね」と返し、当時を振り返った。
「あれを『やるよ』と文化放送におうかがいを立てるとします。ぼくは(当時)社員ですからね。(すると会社は)『ダメ』だって多分、言うと思います。何か問題になるから。だからやっちゃうんです。過去の経験では僕はやってきました」
「セイ!ヤング」を担当していた頃は、裏番組にニッポン放送「タモリのオールナイトニッポン」があった。「あの時はタモリさんが表の深夜放送で。僕は裏ですから。何をやっても勝てないので、かわったことをやりたいというので」(吉田)という考えから企画立案に至ったという。
「あの目的は、テレビにも映りたい。新聞にも映りたい。ラジオだけじゃなくて。今は分からないですけど他の私立大学や国立大学には、あまり新聞・テレビ行かないですよね。東大だけ(取材が)いくわけですから。こっちとしては狙い目なわけです。そこに映っちゃおうと」
ただ、あくまで映るのが目的のため、「インタビューされた時には、『胴上げされただけの人間です』と、正直に答える心つもりで行って、その行為(胴上げ)をやってきた」と、自分たちでルールを決めて実行したのだという。
「幸いその時は何もインタビューをうけず。ただ、派手にやってるからNHKをはじめ、民放各局、新聞社がばしばしフラッシュをたいてすごい騒ぎだった。やったーとか内心思いながら」
この類いの企画は「言っちゃうとだめなんです」と吉田は言う。例えば、日本テレビ系でかつて放送されていた情報番組「ズームイン!!朝!」で、徳光和夫アナがメーン司会を担当していた時に、スタジオ裏の一般観覧者の振りをして映り込む、ということを試みた。ただ、この際は、「ディレクターが上に報告しちゃった」(吉田)ため、徳光アナにまで吉田が来ていることが伝わってしまったという。
「『ラジオ局の深夜放送やっている吉田照美さんっていうアナウンサーの方がお見えで』って。いきなりマイクつきつけられて。僕もアワアワ状態で、心の準備をしていないから。だから、伝えるもんじゃないなとその時思いました。ちゃんといい仕事ができなくなるので」
こうした企画は、時代によって許容される範囲が変わってくるだろう。ただ、この日の会見で「何かやる時は上には伝えない」と言い切った吉田も、「最終的に何か問題が起きたら、責任はとるつもりでやる。という感じですかね」と、“やる側”の心構えも語っていた。
