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藤原新、柔道野村から3連覇出陣法伝授

 座談会で野村忠宏(左)のトークに笑顔を見せる藤原新(撮影・会津智海)

 ロンドン五輪男子マラソン代表の藤原新(30)が28日、都内で行われた、所属するミキハウスの壮行会に出席した。同社所属の五輪出場選手、OBを集めて行われた座談会では、柔道男子60キロ級で96年アトランタ、00年シドニー、04年アテネと五輪3連覇を成し遂げた野村忠宏(37)から、独自の出陣法や“金言”を伝授された。“野村イズム”を胸に、8月12日のレースに臨むことを誓った。

 右隣に座る柔道王のオーラに、“成り上がりランナー”藤原は、圧倒されながらマイクを握った。

 「五輪への怖さを感じています。不安な状態から戦闘モードに切り替える瞬間は、どうすればいいでしょうか?」

 すると野村は、独自の出陣法を伝授した。

 「自分が気持ちを切り替えるのは畳に上がる直前。トイレで顔を洗って、自分の顔を鏡で見て、『情けない試合をするためにやってきたんとちゃうやろ!!チャンピオンになるために頑張ってきたんやろ!!』と問いかける。とにかく勝負できる男の顔になっているか確認していた」‐。

 柔道史上、前人未到の五輪3連覇を達成した男の言葉に、初対面の藤原は「オーラをビシビシ感じた」と、すっかり心酔。「野村流出陣法、僕もやります」と誓った。

 さらに、野村は金言を授け続けた。「五輪は普通に戦える場所じゃない。『緊張で自分を見失った』とかいう選手はいるけど、その場で恐怖心を感じていたら、どうしようもない。普通の場所じゃないという意識を常に持ってやらないと」、「メダルへの思いがギリギリの勝負を分ける。わがままに、自分のために戦って欲しい」。“野村語録”を連発し、五輪への心構えを説いた。

 男子マラソンのエースとして、日本男子5大会ぶりのメダルを狙う藤原は「本当に、今日はいい金言を頂いた」と感激しきり。柔道王の言葉を胸に刻み、ロンドンの地を駆け抜ける。

(2012年6月29日)

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